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社員ブログ

  • 小説抄 其の23「尾辻克彦『肌ざわり』」

    2010-06-15

    昭和54年に「肌ざわり」が中央公論新人賞を受賞した際、選考委員の河野多恵子氏は「この〈肌ざわり〉のような作品は下読みの段階で落とされかねないものだけど」と挨拶したそうだ。では、下読みの段階で落とされかねない作品とは? 以下、冒頭近くの一節。
    「あ、これいま書いているの?」/「うん。床屋の話」/「話って、これ小説?」/「うん、小説にしようかと思っているんだけど、まだいまは随筆」


    この作品では「床屋に行く話」と「その話を書いている作者の日常」が同じ次元にある。通常、作者は作品の外側にいて作中には出てこないが、「肌ざわり」ではそれが地続きとなっているのである。言わば、映画のシーンの外にいるはずのスタッフが映されていて、本編とメイキング映像が交互に出てくるような作りになっているのだ。確かに、「なんだ、これ?」である。


    ただ、話は抜群におもしろい。そして深い。尾辻氏の別の作品に「路地裏の紙幣」という作品があり、これは「千円札を落としたので拾った人は届けてほしい」という貼り紙を見て、主人公の父子が届ける話なのだが、しかし、落とし主は「醤油のシミの位置が違う」と言って受け取らない。「うそでしょ?」である。「お金って交換可能なもので、この千円札はいいけど、あの千円札はだめってある? マルクスもびっくりだよ」である。尾辻氏の作品にはかくの如く読後に深く哲学させられるものが多い。余韻というより、何十年も糸を引く深さなのだ。


    ちなみに、尾辻克彦氏は精巧な偽千円札を描いて起訴されたこともあるイラストレーター、赤瀬川原平である。氏に小説を書かせたのは中央公論社の文芸誌『海』にいた村松友視だそうだが、ということは、下読みの段階からマークしていたのかもしれない。画家が小説を書くということについては池田満寿夫という先例もあるし、期待大だったんだな。でも、だとしても、期待を裏切らないこれだけの作品を物したのはすごい。天ってときどき二物を与えるよなあ。(黒)

  • 2010年度 武満徹作曲賞 本選演奏会

    2010-06-14

    公募ガイド7月号が発売になりました
    発売日には、本屋をめぐり、どこに公募ガイドが置いてあるかなぁ~と探すのが大好きな(石)です。

    それ以上に好きなのは取材に行くこと
    という相変わらず弾丸娘の(石)ですが、以前もお伝えしておりました、武満徹作曲賞の本選演奏会に行ってきました♪

    次代を担う若い世代に、新しい音楽作品の創造を呼びかけるために実施されている同賞。
    今年は30カ国から、86作品の応募があり、その中から4名のファイナリストが選出されました。

    この賞の応募資格は、35歳以下なのですが、今年のファイナリストは偶然全員が1980年代前半生まれ、と私と同年代

    ブラジルからはホベルト・トスカーノさん、日本からは2名、難波研さんと山中千佳子さん、スロバキア=ハンガリーからは、アンドレイ・スレザークさんが選出され、その4名の作品が、東京フィルハーモニー交響楽団、大井剛史氏の指揮によって、実際に演奏されました

    会場には、ファイナリストのスコアが展示されていたのですが、オーケストラのスコアって意外とすっきりしてました。
    しかしその中には、それぞれの音の響き、ハーモニー、強弱など、伝えたい世界がビッチリ詰まっているんでしょうね

    実際の演奏も素晴らしく、同じぐらいの年数を生きているのに、なぜこんなに複雑で美しい音楽を創造できるんだろう と、この世の不思議を見た気がしました。

    さて、同賞の審査員はたった1名、「トリスタン・ミュライユ氏」のみ。
    2階席の一番前で、ファイナリストの音楽に聞き入っていた同氏。
    それぞれの演奏後、30分という短い時間を置いただけで、順位が発表になりました♪

    たった一人の審査員なので、審査は主観的にならざる得ないことを断ったあと、同氏によって選ばれた作品は…

    第1位 ホベルト・トスカーノさん
    第2位   アンドレイ・スレザークさん/難波研さん
    第3位   山中千佳子さん


    第1位のホベルト・トスカーノさんの音楽は、ティンパニーの強い音から始まり、爆発的な音の響き、その中でバイオリンなどは弦の細かい動きを要求される演奏方法を用いていて、最後は静かに、静かに終わる音楽でした。
    先日聞いた、ミュライユ氏の音楽にも感じられた独創性が強く現れた作品でした。

    ホベルト・トスカーノさんからは、受賞について、残念ながらすでに亡くなったお父様にこの曲を、そして本選で演奏された音楽を捧げる旨と、演奏をした方々、指揮者、ミュライユ氏への感謝。
    そして仲良くなったファイナリスト達にも感謝の気持を伝えていました

    演奏の合間に、ファイナリスト達が仲良く話しているな~と思っていたのですが、こうやって同じ音楽家同士交流できる、というのも素晴らしい機会なんでしょうね!

    作品の詳しい選評や、ファイナリストのコメントなどは、公式ウェブサイトで見ることができます


    さて、2011年度の武満徹作曲賞ですが、現在作品を募集中。
    公募ガイド7月号でも紹介していますので、自分の音楽の世界をぶつけたいかた、挑戦してみてはいかがでしょうか(石)

  • 【アート】「赤ちゃんステーション」シンボルマーク募集 ほか

    「赤ちゃんステーション」シンボルマーク募集
    締切:6月18日
    三鷹ネットワーク大学開設5周年記念 シンボルデザイン募集
    締切:6月22日
    「ソーシャルワーカーデー(Social Workers Day)シンボルマークおよびロゴ募集
    締切:6月25日
    宇部市のイメージキャラクター・ロゴマーク募集
    締切:7月15日
    神奈川県美術展
    締切:7月25日
    資格:神奈川県在住、在勤、在学者または出身者
    THE OPEN MIND OF LAFCADIO HEARN
    締切:7月30日
    資格:美術展の趣旨に共感し作品制作に意欲のある国内外の作家で、芸術作品・製品デザイン・グラフィックデザイン等を制作するアーティスト・クリエーター

  • 独りごち 其の8「恩送り」

    2010-06-10

    明治時代ぐらいまでは、受けた恩を直接返すのが「恩返し」で、別の人に申し送るのは「恩送り」と言ったそうです。ある講師の方は、受賞したとき、それまで教えを受けていた先生に、このご恩をいかに返すべきかと聞いたそうですが、そのとき恩師は「私に返すのではなく、後進のために」と言われたそうです。そういう気持ちがないと務まらないものなのかもしれません。(黒)

  • ライトノベルをフィーチャー!7月号本日発売です

    東京は梅雨の足音がひたひたと聞こえてきそうな天気。
    そんな今日、公募ガイド7月号が発売になりました。
    7月号
    今月号の特集はお待ちかね!文学賞特集
    「ライトノベルっていう手もある」です!
    ■特集 文学賞特集「ライトノベルっていう手もある」
    ここ数年、ライトノベルのレーベルは増加を続け、それにあわせて新人賞の数も増えました。求められる作品はどのようなものか。主催者インタビューを中心にさぐっていきます。
    ■連載
    〈My Story〉
    原マスミさん
    〈CREATORS〉
    上杉忠弘さん
    ■好評連載中
    あべたみおのみんなのマーク展
    tupera tuperaのカードデザインコンテスト
    タイアップコンテスト
    などなど、今月号ももりだくさんの内容です。
    ラノベ…小、中学生のとき読んでいたなあ、でも当時「ライトノベル」って言葉は知らなかったです。なぜなら、本誌でも紹介しました、“ライトノベルの元祖!”と呼ばれる「スレイヤーズ」とかのころだから…。中村うさぎさんのラノベ作品も結構読んでましたー!
    いまやすっかり定番ジャンルとなったライトノベル。
    今回の特集ではその登竜門となる各賞を紹介してますので、
    ラノベ好きな方も、これからラノベ挑戦してみるか!って方も
    ぜひお手にとってごらんください!
    (熊)

  • TK-プレス 其の23「自惚れの功罪」

    2010-06-08

    まだ十代の頃、大手新聞社が「ジャーナリストを目指す学生のため」と銘打ったイベントを行い、同時に「無料添削」をしてくれるというので作文を提出してみた。数ヵ月後、編集委員による講評が届き(若い学生のために褒めてくれたのだとは思うが)、極めて具体的な言葉で大絶賛されていたので、やっぱ俺って書ける人なんだと自惚れてしまい、それからしばらくは妙に凝り凝りの変な文章ばかり書くようになってしまった。まあ、若さだろうね、山ちゃん。


    同じ頃、文章作法の授業があり、プロの文芸批評家に見てもらうことになった。その際、「ヤニだらけの壁」と書こうとして、それじゃあ普通すぎてつまらない、「黒ずんだ」という言い方があるくらいだから、「ヤニずんだ」にしようと自信満々で書いたのだが、戻ってきた原稿には赤字で×がしてあり、そっけなく「こなれない」とだけ書いてあった。


    こなれないだと! 人が必死に考えた表現をそんな一言で斬って捨てるか、この野郎! と殺意すら抱き、「肩凝り」だって元は漱石が考えた造語だろ、どんな言葉だって最初はこなれないもんなんだよ、こいつは何も分かっちゃいねえと腹が立った。今なら「分かってないのはおまえだよ」と言いたいが、そのときは激昂していてそれどころではなかった。級友たちもほとんどがくそみそに酷評されていたので、学食でお茶しながら、今度会ったら殴ってやろうなどと冗談まじりに話し合ったのだった(幸か不幸か臨時講師だったので、その後、会う機会はなかった)。


    数日後、別の先生を囲んで飲む機会があり、「ヤニずんだ」の件を愚痴ると、「そういう独りよがりの表現をして気持ちがいいのは自分だけだろ、読み手は気持ちよくない。オナニーと同じだよ」と言われ、納得しつつも、さらなるダメ出しにずどんと落ち込んだのだった。ただ、この先生はこうも言った。「大いに反省し、しかし、最後にはこう思えばいい。俺の書くことが分からないなんて、俺ってなんて独自なんだろう」と。これには救われたなあ。(黒)

  • 【文芸】JTB夏旅川柳コンテスト

  • 【懸賞】しんきん「ありがとう」キャンペーン

  • 【ノンセクション】パソコン甲子園2010

    パソコン甲子園2010
    締切:7月30日(部門により異なる)
    資格:日本国内の高等学校及び高等専門学校の3年生までならびにこれらと同等と認められる学校の人

  • 【アート】那珂川町「イメージキャラクター」募集 ほか