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社員ブログ

  • 小説抄 其の8「芥川龍之介『魔術』」

    2009-11-17

    純文学は自分のために書いた芸術性の高いもの、大衆文学(エンターテインメント)は読者のために書いた娯楽性の高いものという分け方があるが、今はそれらが融合した中間小説が多く、その境目はボーダレスと言われている。しかし、それならば昔ははっきりとした境界があったのかというと、それがよく分からない。
    1961年に伊藤整は「『純』文学は存在し得るか」という評論を書いているので、戦後は「純文学/大衆文学」という二大政党制みたいな構図があったのだと思うが、大正時代あたりまではどうだったのだろうか。


    そもそも、純文学/大衆文学という構図ができたのは、高度のエンターテインメントが出現した戦後であって、どちらかというと大衆文学が知的レベルの低い人が読む探偵小説、チャンバラ小説、今で言う娯楽漫画程度の地位しかなかった大正時代あたりでは、純文学/通俗的な大衆文学という区別はあっても、純文学/高度のエンターテインメントという棲み分けはなく、文豪たちにも「私は『純』文学を書いている」という意識は薄かったのではないかと思う。結果、小説と言えば純文学であり、この純文学にはエンターテインメント的な作品も多く含まれていたのではないか。


    うーん、なんか堅苦しいことを書いているなあ。要するに、芥川の『魔術』を読んで、これは純文学なの?と思ったというだけだったりする。それほど伏線の張り方やミスリードのさせ方、話の運びが絶妙で、のちの世のミステリーやショート・ショートの教科書と言っても過言ではないと思ったのだ。もっとも、どんでん返しのような大仕掛けがあるからと言って、それだけで純文学ではないということにはならないけれど。(黒)

  • 【ノンセクション】我が家の自慢の味~お弁当コンテスト

    ●「水筒・お弁当箱・箸style」 我が家の自慢の味~お弁当コンテスト
    締切:12月7日 内容:家庭で作れる、オリジナルお弁当を募集
    ●丹波竜グランプリ
    締切:11月30日 内容:お土産品などの商品化を前提とした商品アイデアを募集

  • 【ネーミング・標語】長野技能五輪・アビリンピック2012 公式キャラクター名称募集

  • 【文芸】神奈川新聞社 禁煙川柳&禁煙メッセージ募集

  • 【フォト】雑穀おにぎりフォトコンテスト ほか

  • 【アート】光のインスタレーション・コンペ2009

  • シェル美術賞2009 表彰式

    2009-11-11

    昨晩から、全国的に大雨ですね~。
    昔は「伝説の雨女」と呼ばれていたのですが、大人になってからは日頃の行いがいいためか、今ではすっかり晴れ女に♪なった(石)です。

    私は、雨が結構好きです。なんか気分もしっとり~としませんか?
    天然パーマの髪の毛が大爆発することだけはいただけませんが。

    代官山ヒルサイドフォーラムさてさて、昨日は雨に降られる前に、「シェル美術賞2009」の表彰式に(熊)と一緒に行ってまいりました。
    会場は代官山にあるヒルサイドフォーラム。デンマーク王国やエジプト・アラブ共和国の大使館すぐそばにある、洒落た建物です。


    シェル美術商は、昭和シェル石油が、現代美術を担う若手作家の発掘を目的として、1956年から開催されている、歴史と伝統ある賞。
    若手の発掘を、というだけあって、受賞者は20代~30代の方が多く、会場に入るとすでに受賞者の方々は席についており、ちょっと緊張したような後姿が・・・

    今年は1666点におよぶ作品の応募があり、その中から準グランプリとして「樹海にて」(吉田晋之介さん)が選ばれました。

    作品全体の質が高く、傑出した作品がでなかったからこともあり、昨年に引き続き今年度もグランプは選出されませんでした。

    受賞者の吉田晋之介さん準グランプリの吉田さんからは
    「くやしい」との一言がでてちょっとビックリ
    「自分の未熟さを感じた」とのことでした。
    やっぱり、準グランプリというすばらしい作品を生み出したとはいえ、よりよい作品を!という「いい」欲が強いのかなぁ~とちょっと感動

    審査員の本江邦夫氏からは、「グランプリの方は意外といなくなってしまうことが多いので、準グランプリとか審査員賞ぐらいがいいのではないか」というちょっと問題発言もありましたが、会場の人たちは顔をほころばせていました。

    吉田さん、どこかで会ったことがあるなぁ~と、ず~と思っていたのですが、
    それもそのはず 6月に取材に行った、トーキョーワンダーウォール公募2009 授賞式にもいらっしゃっていたそうなんです!
    きっと会場ですれ違ったりしていたんでしょうねぇ~

    作品は、油絵なのに、透明感があって、細かい部分も丁寧に、丁寧に描きこんであって。
    ちょっと写真ではそれが表現しづらいのが残念
    表彰式後のレセプションで、そのことをお話したら、すこしはにかんで、作品についての話などもしてくださいました。

    さてレセプションでは、受賞者の方々がお互いの作品について熱くかたったり、審査員の先生に作品の講評を求めたりと、賑やかに行われていました。
    「賞」という形にみえる実績と共に、こうした「交流」の場が設けられる、というのも公募の醍醐味なんでしょうね。

    ●シェル美術賞展2009
    会期:11月11日~15日(10時~19時 入場は18:30まで)
    会場:代官山ヒルサイドテラスF棟1F

    美術展、期間が短いですが、どの受賞作もそれぞれの個性と美があり、とても興味深く見てきました。確かにこの中から1点選ぶのって大変でしょうね。

    興味のある方は是非足を運んでみてはいかがでしょうか。(石)

  • TK-プレス 其の8「文学史のタイムトンネル」

    2009-11-10

    以前、「現代作家写真館」という作家の書斎を訪問する連載があり、通りすがりに作家の候補を挙げてくれと言われたので、たまさか読んでいた作家名を出し、「丸谷才一さんをぜひ」と何気なく言った。そんなこともすっかり忘れていたある日、連載担当の写真家、榊原和夫さんが来社し、「丸谷さん、OK出たよ、来週金曜、同行してくれ」と言う。


    「来週? 来週は社員旅行なんですけど。っていうか、オレ、担当じゃないし」と言うと、「社員旅行なんか行かなくていいよ。丸谷さんに、編集部に大ファンがいるって言っちゃったもん。来てくれなきゃ困るよ」と若干キレぎみ。まいったなあ。社員旅行はいいとして、大ファンだなんて。ファンはファンだけど、読んだ本はすべて文章読本や日本語関係で、『たった一人の反乱』も『横しぐれ』も『女ざかり』も読んでないし、今から読もうにも時間がない。小説はじっくりと、興を覚えたときでないと読めない性質なのだ。


    そんなわけで、変に質問して“読んでない”ことがバレないように終止控えめに撮影に立ち会い、さて、そろそろ帰ろうかというとき、丸谷さんの机に硯があるのに気づいたのだが、仕事が終わって気が抜けていたのか、「筆で小説を書くんですか」とアホなことを聞いてしまった。丸谷さんも内心、そんなわけあるかい!と思ったとは思うが、「谷崎潤一郎賞をもらったとき、谷崎さんの奥さんにもらったんだよ」と丁寧に教えてくれた。


    谷崎の奥さん? 『細雪』の幸子のモデルの? へえ! と思って硯を覗いたとき、そこに「谷崎潤一郎、丸谷才一……」と連綿と続く文学史のタイムトンネルのようなものが見え、その末席に自分がいて、なんだかわけもなく感動してしまった。作家の持ち物だとか遺品だとかには一切興味がなく、文学館とか記念館とか生家とか太宰が心中した玉川上水とかに行くやつの気が知れないと思っていたが、あの硯の体験だけは不思議だった。(黒)

  • 公募ガイド12月号発売になりました

    日が短くなってきましたねえ。もう年末の足音が聞こえてきました。
    そんな11月9日、本日「公募ガイド」12月号が発売になりました!
    12月号表紙
    今月号の特集は「文章の書き方」です。
    ■特集 基礎を教えます!文章の書き方
    基本を押さえて文章公募にチャレンジするために!
    文章の書き方の基礎や、文章を書くうえでの構成のたてかた、実際の文章を添削した実例を紹介しています。
    ■インタビュー連載
    〈目指す君へ〉 映画「マイマイ新子と千年の魔法」公開目前
    郄樹のぶ子さん
    〈今月の一冊〉 「翼をください」
    原田マハさん
    〈アートなお仕事〉
    marini*monteany(マリーニ*モンティーニ)さん
    ■好評連載中
    あべたみおの“○○の日”ポスター大会
    colobockleの一枚の絵からコンテスト
    五月女ケイ子の笑言(ワラコト)
    そのほかにも内容盛りだくさん!
    ぜひお手にとってご覧ください。
    (熊)

  • 【文芸】信州児童文学会 800字童話募集