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社員ブログ

  • 独りごち 其の43「真実一路の道なれど」

    2011-02-10

    山本有三の『真実一路』には、「真実一路の道なれど、真実、鈴ふり、思い出す」とある。山本有三はこれを自作だと思っていたが、あとで北原白秋の「真実一路の旅」の一節だと気づいたそうだ。白秋が好きで、自分で作ったと勘違いするほど繰り返し暗唱していたからだ。こういうことは、でもよくある。知識を持って生まれてきたわけではないから、要するにほとんどの思考は先人からの借り物と言えなくもない。(黒)

  • 公募ガイド3月号 本日発売です!

    2011-02-09

    全国のコンテスト情報と入賞するためのノウハウ満載!
    公募ガイド3月号、本日発売です。

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    3枚だもん、とりあえず書いてみようヨ

    ■特集
    原稿用紙たった3枚の文章公募
     短いから書けそう!! とはいえ、短いなりの難しさも。
     短い文章公募の入賞のコツを教えます。

    ■インタビュー
    【My Story】
    森浩美さん
     SMAP「青いイナズマ」、Kinki Kids「愛されるより 愛したい」
     などのヒット曲を生み出した作詞家

    【今月の一冊】
    「つるかめ助産院」小川糸さん

    【CREATORS】
    深川栄洋さん
     映画「白夜行」監督

    ほか、公募情報&好評連載多数!

    ※詳しくはこちらをご覧ください。


    次号はいよいよリニューアル。
    新連載、特集もお楽しみに

    ________________

    毎日寒くて、防寒優先のダサ服で過ごす毎日です…。
    暦でなく気候でいうところの春が、本当に待ち遠しい。
     (市)

  • 【ネーミング】練馬区アニメキャラクターアンケート投票

  • 【アート】びわ湖源流の郷たかしま”農産ブランド認証マーク募集 ほか

  • 小説抄 其の40「重松清『ビタミンF』」

    2011-02-08

    たまたま同年代だったとか、同窓、同郷だったりして、急激に親しくなれるときがある。それまでと何が変わったわけでもないのに、何か共通するものがあると、説明せずともなんだか分かり合えるような気になる。本の場合も同じで、いくらいい本だと言われても、共通する何かがあるという思い込みがなければ読む気にはなれない。戦前などは、たいがいの日本人が戦争と貧困を体験してきたから、それを書けば共感を得られたが、現代人の場合、そういうものはまずない。


    あるとき、Bさんという方と話していて、「私が読んでもおもしろい小説ってありますか」と聞かれたことがある。「私が読んでも」というのは、小説というものを必要としない人という意味だろう。当時、Bさんは45歳、二児の父だったが、私もそんなことを思ったことがあった。学園ものを読む年でもないし、苦悩と挫折の青春は既にして遠い。それなら恋愛ものはどうかというと、惚れた腫れたの色恋はかなり縁遠くなっている。第一、それを問い詰めたい気持ちがない。


    難解なのもかったるい、仕事を連想させるようなものもだめ、時代小説というほどの年齢でもない。推理小説は? 謎解きだけでは食指は動かないし、それにその手のものはさんざん読んだ。ならば、いっそポルノ小説は? 成人漫画を読む感じでストレス解消になる? ところが、そうはならない。小説は文字でしかないから、即物的に興奮するわけではないし、そのためだけだった面倒くさい。そもそも、なんの深みもないのでは読む意味がない。要するに、読むものがない。


    そんなとき、重松清を読んで、なぜかはよく分からないが、「分かる」と思った。数十年前、いじめが社会問題になり始めたとき、多くの大人は「いじめなんか昔からありましたよ、意気地がないんです」と言っていたが、そういう見方はしていなかった。もしかして作者は同年代かもと思ってプロフィールを見たら2歳下だった。ちなみに、私の薦めで『ビタミンF』を読んで「同世代の親にしか分からない感覚」と感想を漏らしていたBさんは、重松さんより1歳下だった。(黒)

  • 【懸賞】クイズに答えて豪華賞品をゲット! KOKUYO 頑張る人応援キャンペーン!

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  • 独りごち 其の42「作家として死ぬには」

    2011-02-03

    2月に入り、プロ野球はキャンプインした。今年は話題のドラ1が多く興味は尽きないが、ドラフト1位だからといって将来が約束されたわけではないし、入団することだけをゴールにしてきたわけではないだろう。にもかかわらず、作家志望の人たちは新人賞受賞をゴールに定めはしても、受賞後、いかにして書き続けるかは問題にしない。もしかしたら、その責任の一端は公募ガイドにもあるのではと反省して、「作家として死ぬために、アマチュア時代にやっておくべきこと」という企画を考えている。(黒)

  • 【ネーミング】ふじみの市マスコットキャラクター愛称募集

  • TK-プレス 其の40「小説家って職業?」

    2011-02-01

    戦前の芥川賞、直木賞の募集要項を見たことがある。今は応募形式ではないが、昔は雑誌、書籍の出版点数が少なく、同人誌にも優れた作品があったから、自薦・他薦による同人誌掲載作品や生原稿も受け付けていた。歴代の受賞作を見ると掲載誌が書かれており、生原稿で送られてきた作品が受賞したケースがあるのかどうかは分からないが、文芸誌や新人賞が数多く出てくる昭和20年代以前には、「文學界」と肩を並べて、同人誌と思われる名前の掲載誌がいくつかある。


    「新潮新人賞」の募集要項には未発表の小説のほか、「過去一年以内に同人雑誌に発表したものも対象」と書かれている。これは前身である「同人雑誌賞」の性格を受け継いでいるから。また、昔の「文學界」には「同人雑誌批評」というコーナーがあり、多くの同人誌が送られてきた。石原慎太郎が本気で作家を志望するのは、「太陽の季節」の前に「一橋文芸」に書いた処女作「灰色の教室」が同欄の中で絶賛されたからだそうだが、昔の同人誌は新人発掘の場でもあったわけだ。


    昔の作家は発表の場がなかったから同人誌を作って発表した。同人誌とは志望・志向を同じくする人の雑誌という意味だが、営利目的の商業誌ではない。世に出るための契機にという動機はあったとは思うが、就職活動とはちょっと違う。太宰も同人誌「海豹」に参加していたが、職業作家としての地位を築く以前も以後も、書きたいものを書いていた。書くことは空気を吸うようなもので、書かなければ生きていけなかった。書くことでようやく生きながらえることができた。


    この頃の職業作家、今で言うプロ作家は、純文学作家の対極、つまり、狭義には食うために好きでもない通俗小説を書いている人を指した。漫画「三丁目の夕日」の茶川さんがそうだ。しかし、昔で言う純文学が衰退し、かつての大衆文学が高度に発展した今では、職業作家=プロ作家=専業作家という意味に変わっている。小説が商品になるシステムと社会思想があるのだから、それはそれでいい。でも、職業として作家を志向するのはどうか。っていうか、作家って職業?(黒)