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社員ブログ

  • 独りごち 其の23「作家のふんどし」

    2010-09-23

    作品添削講座ができる前、ある日、「助言のとおり書き直して受賞しました」とお礼の電話がかかってきた。そのことはおぼろげながら覚えていたが、電話で言ったアドバイスのほうはさっぱり思い出せない。が、「私、どんなアドバイスをしました?」と尋ね、聞いているうちに思い出した。ただ、それは『藤本義一の文章教室』という本に書いてあったことをまんま言っただけだったので、作家のふんどしで相撲をとったようで、なんだか妙におもはゆいのだった。(黒)

  • 【文芸】締切間近!2010年金鳥生活 川柳選手権大会

  • 【ネーミング】長門産和牛の愛称(ブランド名)募集

  • 小説抄 其の30「三浦哲郎『拳銃と十五の短篇』」

    2010-09-21

    子どもの頃、父はときどき日本刀を取り出して手入れをしていた。唾液が飛ばないように半紙を口にくわえて打ち粉をつけたりするのだが、危険物を扱っているせいか、その場の空気が張り詰めていた記憶がある。高度経済成長のまっただなか、まだ羽振りがよかった頃だ。数年前、父はその日本刀を引っ張り出し、引き取ってくれと言った。このとき、父の会社には3億の負債があり、倒産すれば家も土地も家財道具も人手に渡る、遺産どころか負の遺産しか残らない、だから今のうちにということだったらしい。


    家に帰ったあと、なんだか三浦哲郎の『拳銃』みたいだと思った。ある日、母親から電話がかかってきて、父親の遺品を調べていたら六連発の拳銃が出てきた、怖いから処分してくれと言われる。三浦哲郎は六人兄弟の末っ子として生まれたが、障害を持つ姉二人が次々に自殺、二人の兄は失踪という血を持つ。そんな子どもを持った父親は、死のうと思えばいつでも死ねるということを糧に生きてきた。父親の死後、その拳銃を見たとき、息子である三浦哲郎は一瞬でそうさとったことを思い出す。『拳銃』はそういう話だ。


    この小説では、余命いくばくもない父親を「毎日少しずつ死んでいく父親」と表現している。なるほどと思う。私の父も死期を宣告され、しかし、本人が手術を拒否したので、最後の数年はまさにそんな感じだった。また、この小説では父親を拳銃に象徴させており、そこが絶妙だ。死だとか人生だとか目に見えないものを語っても読後感は漠としてしまうが、拳銃というモノに仮託すると、ずっしりと重さが感じられる。これほどモノをうまく使ったモノ語りはなかなかない。


    さて、しばらくして、父から「やっぱり処分しろ」と言われた。それで刀剣屋に売ってしまったのだが、思い出がひとつなくなったようで寂しいものがあった。しかし、あとになってみると、あれは最後のおこづかいのつもりだったのではないかという気がして、今はその親心のほうが切ない。(黒)

  • 藤咲あゆな先生の新刊『黒薔薇姫の秘密のお茶会』発売

    藤咲あゆな先生の新刊『黒薔薇姫の秘密のお茶会』(ポプラ社 ポプラポケット文庫/税別570円)が発売になりました。


    ~謎めいたお姫さま、黒薔薇姫の7人の従者集めはあと2人。餃子屋の杏のほかには、着ぐるみに幽霊、忍者にロボットと、変わった人(?)ばかり。個性的な従者のヒミツが分かるかも。紅茶の香りの人気シリーズ第6弾!~


    「6.jpg」をダウンロード

  • 独りごち 其の22「後藤先生、修業時代」

    2010-09-16

    後藤みわこ先生は、結婚後、子どもができてから、賞金目当てで投稿するようになり、そのままプロになられた。その過程を「童話公募必勝講座」のテキストから引用すると、「自己流では入選しないと悟り、通信講座を受けたこともあります。『公募ガイド』に掲載された童話の特集や、童話講座の連載は何度も読みました。/わたしの『勉強法』は、ひたすら書くこと、そして応募すること、でした。『童話賞が創作教室だった』といってもいいかもしれません」。当時、公募ガイドには「プロを目指すもよし、賞金稼ぎに徹するもよし、まずはチャレンジ!」というキャッチフレーズがあったが、その両方を叶えた数少ない一人だった。(黒)


  • 【フォト】北アルプスのふるさと年賀状フォトコンテスト

  • 【アート】阪南市市制施行20周年記念 イメージキャラクター募集 ほか

  • TK-プレス 其の30「帯に大きし」

    2010-09-14

    書店を模して本棚を五十音順にすると、片岡義男を挟んで梶井基次郎と河盛好蔵が並んでしまったりするのだが、それでもみな自分の本だからジャンル違いはさほど気にならない。許しがたいのは家人が読んだ小説が交じることで、そんなときは「こんな2時間ドラマになるようなものは小説じゃねえ」など言って密かに端のほうに押しやったりしたりする。本棚は履歴書のようなものだから、たとえ家人のものでも、身に覚えのない経歴を並べられるのは居心地が悪い。


    書店で本を買うと、「カバーはおつけしますか」と聞かれるが、私はつけない。あんなものをつけて本棚に置いたら、どれがどの本だか分からなくなってしまうし、いちいち中を開いて確かめるのも面倒だからだ。そう言うと、「人前で読むときに恥ずかしくない?」と言われるが、冗談じゃない。他人に見られて恥ずかしいような本は読まないし、仮にそれが『エロティシズム』であっても、それは渋澤龍彦を知らないほうが悪いのだと思って気にしない。


    ただ、買ったままの状態で読んでいると傷むので、カバーははずして読む。その際、カバーに付いている帯はまっさきに捨てる。帯というのは「○○氏、絶賛」とか書かれて本に巻いてあるやつだが、私はあれが大嫌いだ。帯は本ではなく広告である。広告は本来、本に挟み込むべきものであるが、今では本に巻きついて、しかもデザインの一部にまでなっている。だから、帯を見ると、「チラシの分際で『私、本の一部です』みたいな顔しやがって」と頭にきて破り捨てるのだ。


    先日も、吉田修一の『悪人』を買ったら、「9.11ロードショー」のように書いてあったので破り捨てようとしたが、これが取れない。おかしいなと思ったら、カバーに印字してある。本自体に宣伝を入れるか!と思いながら、いつものようにカバーを取ると、なんと中にカバーが! つまり二重のカバーというか、一皮目はカバーに化けた帯だったのだ。ときどき、このような進化した帯を見るが、さすがにこうなると捨てられない。完敗である。いや、本当のカバーも隠れてしまうから引き分けか。って、いったいなんの勝負か分からないけれど。(黒)


  • パイロット アートシリーズ おえかきコンテスト2010

    2010-09-12

    9月だというのに、暑い日が続いていますね~
    暑さで化粧が溶けて、化けの皮が剥がれちゃっている(石)です。

    ですが、取材にかける情熱は、外の暑さより熱いのだよ!!
    ということで、9月2日~3日にかけて開催された、PILOTの商品を紹介する見本展 Autumn collection 2010にいってきました

    PILOTといえば、公募ガイド愛読者の方にはぴん!ときたのでは
    そう、現在、絶賛開催中 PILOTと公募ガイドが主催の「おえかきコンテスト2010」です

    残念ながら、お店や関係者向けの展示で、一般の人は入れないのですが、同コンテストの紹介ブースがある! とのことで張り切って出陣してきました。

    会場に入ると、美しい蒔絵をほどこした万年筆が真っ先に目に飛び込んできます。こんな素敵な万年筆で小説書いてみたいわ~とうっとり
    また興味深かったのが、万年筆の技術を利用した指輪などの宝飾品があったこと。
    万年筆には(特にペン先)に貴金属が使用されており、PILOTでは今までに蓄積した技術を使い「傷がつきにくい、純度の高い」宝飾品を作っているのだとか。

    他にも、今話題の「消せる」ボールペンのフリクションボールのブースが
    65℃以上の高温で文字が消え、-20℃で再度文字が浮かびあがるインクを使用しているのだそうです。
    便利~、他にも何かミステリー小説のトリックに使えないかしら などと埒の明かないことを思いつつ、さらに進むと「おえかきコンテスト」のブースに到着♪

    告知ブースブースでは、Suicaペンギンの生みの親「坂崎千春」さんが、このコンテストのために書き下ろした作品がババーンと展示されておりました

    コンテストでは「クレオロール」「ゲルマーカー」「ウォーターカラー」「クロッキー」のいずれかを使った作品を募集しています。
    私は「ゲルマーカー」で試し描きをしてみたのですが、すっごい面白い感触なんです
    例えるなら、ちょっと柔らかめの「口紅」で描いている感触。すぅ~と色が伸びていくので塗りやすく、さくさく描けて快感です★

    試し描きもできました楽しくて色々試しているうちに、せっかく綺麗だったブースが散乱状態
    公募ガイド内では、この散乱状態を『(石)現象』と呼び、「またか」のつぶやきと共にあったか~い目で見られております。ゴメンナサイ
    それだけ周りを忘れて楽しく描けるということで。

    公募の詳細や応募用紙は、全国の文具店・百貨店・量販店、またPILOTのウェブサイトからも入手できますので、応募したい方は是非そちらで入手してください。
    もちろん公募ガイドにも詳細が載っていますので、そちらもご覧ください。

    最優秀賞の賞金は10万円! 
    締め切りは10月5日です。
    イラスト初めて!!という方から、よく描いているけれどいつもは違う画材を使っている方、PILOTOの画材はいつも使ってるよ!という方まで、ふるってご応募ください。(石)