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社員ブログ

  • 東京の秘境「青ヶ島」探訪記 その1

    2017-02-03
    山記

    [caption id="attachment_12252" align="alignleft" width="369"]7f8a99c72ea432ede3b9a5ee080a30a2 引用元) http://emior.iord.u-tokai.ac.jp/misc_20091102.html[/caption]

    ネットでよく見かけるこの写真。
    なかなかにインパクトのある姿です。

    RPGで最後にたどり着く場所。
    ラスボスが出てくる最終ステージ。
    そんなイメージですよね。

    島の周囲が見事に崩れ落ちていて、まさに絶海の孤島。
    端正な形状の二重カルデラ。
    島自体が巨大な海底火山の山頂部なのです。

    で、どこにあるのかというと、実は東京都。
    伊豆諸島の一番端っこです。
    東京の秘境と呼ばれているのです。
    で、11月某日に行ってみました。

    まず苦労するのがアクセス。
    東京からの直行便はありません。
    八丈島経由で渡るしかない。

    しかも、船の就航率は極端に低いときています。
    海がちょっと荒れると、2週間ほど船便が出ない、なんてこともあるのだとか。

    じゃあどうするか。
    ヘリを使うのです。

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    毎日運行しているヘリ便があります。
    東京愛らんどシャトル。
    片道11,210円。
    さらに、羽田-八丈島は、ANA特割でも片道12,470円。

    ってことは、往復47,360円。
    海外行けるよ!

    ヘリの乗り心地は、なかなか快適でした。
    ま、登山やってる人は、
    ヘリに乗る=遭難したとき
    ってイメージがあるので、あんまり乗りたくはないのですが。

    そして、念願の青ヶ島上陸。
    宿のおかみさんが車で迎えに来てくれました。
    ふと、気づく。
    ここ、品川ナンバーなのですね。

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    今回の宿は「あおがしま屋」。
    1泊3食付で9500円。
    なぜ3食付かというとですね。

    この島にはコンビニなんてものはありません。
    食堂もありません。
    宿で3食出してもらわないと、ご飯にありつけないのです。

    まずは、島内散策。
    鳥居をくぐって階段を登ってみます。

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    なんか、すげー急なんですけど。
    苔むした玉石の階段。
    むちゃくちゃ滑ります。
    最後は四つんばいで登りました。

    登りきったところにある神社の脇を抜け、しばらく歩くと。

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    この絶景です。
    なんでしょうね、この景色。
    もう、現実とは思えないような空間。
    ただひたすら、ぼーっと立ち尽くしていました。

    ちなみに、新東京百景と、日本の秘境100選に選ばれているらしい。

    絶景を堪能した後、しばらく歩くと。
    今度はこんな景色が。

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    斜面が広範囲にわたって緑に塗られています。
    いったい何のため?
    グラススキーでもやるの?

    その答えは、少し下ったところで判明します。

    [caption id="attachment_12259" align="alignleft" width="640"]SONY DSC  [/caption]

    ここは取水場なのです。
    緑色の斜面を使って雨水を集め、この浄水場へ流し込んでいるのです。
     
    離島ならではの智恵。
    にしても、やることが豪快だな。

    今度は、青ヶ島の北端に向かいます。
    ジョウマンと呼ばれる場所。
    一面の草原です。

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    写真で見ると、なんか良さげでしょ。
    海まで続く草原。
    わーい!
    って叫びながら突っ走りたくなりますよね。

    でもね。
    ここの草。
    背丈を超えてますからね。
    突っ込んでいくと、とんでもないことになります。

    さて、いったん宿に戻りましょうか。
    おっ、ネコがいる。
    近づいてみると。

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    フーッと威嚇しながら寄ってきました。
    なんか反抗的だなぁ。

    っていうか、君たち。
    目つき悪いぞ。


    今回はここまで。

    えっ? 山記なのに、山に登ってないじゃないかって?
    ま、それは次回ってことで。

    (続く)

  • 魔子と出会った夏

    2017-01-18
    山記

    山梨県の奥深く。
    あまり人は入らないが、よく整備された登山道。
    その先に彼女が待っているのです。

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    はやる心を抑えながら、あえてゆっくりと登っていきます。
    時間にして20分ほど。
    息を切らさないよう、汗をかかないよう。

    山頂が近づきます。
    その先に見えてきたのは。
    そう、ついに彼女に出会ったのです。

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    魔子、会いたかった!

    白地に赤で書かれた、血文字のような山頂標。
    「魔子」という名にぴったりじゃありませんか。

    魔子の名には、いったいどんな意味があるのか。
    まあ、そんなことはどうでもいいのです。

    ついに出会えた。
    魔子かわいいよ魔子。

    そして魔子には、重大な秘密が隠されていたのです。

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    魔子の人穴。

    嘘か本当か。
    その昔、武田信玄御一行様が、金の採掘を行っていたのだとか。

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    確かに、手掘り感満載。
    歴史ロマンに浸れます。

    充分に魔子を満喫したら下山です。
    と、登山口にこんな看板を発見。

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    えーと、なんですか。
    「立派な標語でも守らなければ意味がない」

    確かに、そのとおりなのですが。
    山の中でそんなこと言われても、どうしろと。

    なにかの暗喩?
    それとも、大喜利のネタ?
    うーん謎だ、分からない。

    魔子深すぎるよ魔子。

  • 行けばわかるさ!

    2016-12-15
    山記

    ガボッチョ。

    その山の名前を見たとき、「行かねばならない」という思いがこみ上げてきたのです。

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    だいたい、山の名前が“ガボッチョ”っておかしいでしょ。

    冗談でつけた名前?
    の割にはちゃんと地図に載ってるし。
    あ、googleにも登録されてるよ。

    ネットで検索しても、登山の履歴はほとんど見つかりません。
    登山道すらないので、だれも行かないわけです。

    名前の由来は?
    どんな意味があるの?

    こんなときは行動あるのみ。
    そう、行けばわかるさ!

    8月某日。
    夏休みを取得して行ってきました。
    場所は霧が峰のすぐ近く。

    登山道が存在しないので、適当にあたりをつけて、藪の中に入っていきます。
    最初は下り。

    藪の深さは肩ぐらい。
    獣道が錯綜しているので、これをたどっていきます。

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    気がつくと、道が途切れていたり、蛇行していたり。
    人がつけた道じゃないので、まあしょうがない。
    藪をかきわけ、一歩一歩前進していきます。

    と後ろから、何かがすごい勢いで近づいてきました。
    巨大な物体。
    いったい何が?

    藪の中から飛び出してきたのは、立派な角をもった鹿。
    真横を、ジャンプしながら駆け抜けていきます。
    振り上げた鹿の足が、鼻先をかすめました。

    間一髪。
    あのサイズだと、追突されたら大怪我します。
    もう心臓バクバクです。

    すげー、なんか探検っぽくなってきた。
    テンションがあがります。

    そして前方には、“ガボッチョ”が姿を現します。
    いかにも謎の山、という佇まい。

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    さらに進んだところで、人工物を発見しました。
    木で囲ってあるようですが。
    こんな人が来ない場所で、何かを栽培しているわけじゃないだろうし。

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    呪術的な何か?
    そうだ、きっとそうに違いない。

    ガボッチョ=宗教、呪術
    という構図が、頭の中に出来上がってきました。

    そして、ガボッチョへ登りにかかります。
    これがすごい急な斜面。

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    しかもアザミなどのトゲをもった植物が密生しているので、なかなか前に進みません。
    全身、擦り傷だらけになります。
    さすが謎の山“ガボッチョ”、一筋縄ではいきません。

    四つんばいで踏ん張りながら、登っていきます。
    手をかけようとしたその先に。
    うおーっ、トリカブトだ!

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    猛毒のトリカブトが花をつけていました。
    花粉が傷口に触れるだけで、かぶれます。

    困難に次ぐ困難。
    この先、いったい何が待ち構えているのか?
    斜面を登りきりました。
    視界が開けます。
    ついに山頂に到着したのです。

    と、目の前に現れたのは、謎のオブジェ。
    これはいったい?

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    これ、絶対に儀式を行うためのヤツでしょ。
    何らかの宗教団体か、秘密結社がからんでいるに違いない。
    とんでもない発見をしてしまったのではないか?
    テンションはマックス状態です。

    これは念入りな調査が必要ですね。
    見渡す限り、人の気配はありません。
    謎の山、“ガボッチョ”の正体とは、はたして。

    突然、スマホが鳴ります。
    もしや、「ふっ、ふっ、ふっ。ついに見つけてしまいましたね」
    と、秘密結社がメッセージを伝えにきたのか?
    勢いよく電話に出ました。

    「あのー、今日予定のバナー広告、まだアップされてないんですけど」

    会社からでした。

    結論。
    行ってもわからなかった。

    【豆知識】“ガボッチョ”とは?

    ガボッチョは株丁が語源になっているそうです。
    丁は偶数のことだから、二つの山頂(頂=丁)を持つ山、と言うことを表しています。
    江戸時代・寛政年間の文献には、すでに「かぶっちょ」という表記があるのだとか。
    そんな昔から名前を持つ、由緒正しい山だったのですね。

    後日、親切な人が教えてくれました。

  • くまにさそわれて山に行く

    2016-11-29
    山記

    山記1回目は、熊に会った話。
    石川、岐阜にまたがる白山に登ったときのこと。

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    行くは、北縦走路。
    白川郷に向かって歩いていく、静かな登山道です。

    季節は9月末、秋真っ只中。
    紅葉も進み、周囲には赤い木の実がなっています。

    かれこれ8時間は歩いたでしょうか。
    まだ誰にも会いません。
    静かな登山もいいものだ、とのんきに構えていると。

    ぬかるみに足跡を発見しました。
    先行してる人がいるのかな。
    と思いつつ、よく見ると。

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    これ、人じゃないよね。
    なんか、爪とかついてるんですけど。

    まだ新しいその足跡は、前足と後足がくっきりと見て取れます。
    やばいなー、いるよ。
    とはいっても、鈴も付けてるし、そうそう出くわすものでもないでしょう。

    気を取り直して、先へ。
    紅葉と景色に見とれていると。
    登山道のど真ん中にコレが。

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    デカイ。
    絶対にいるよ。
    間違いないよ。
    やばいよ。

    この先、道のそこかしこに、巨大な糞が転がっています。
    そしてついに、出会ってしまいました。

    距離にして30メートルくらいでしょうか。
    藪の中から姿を現したのです。

    こちらを、ちらと一瞥すると。
    「あー、人がいるよ、面倒くせえなぁ」
    とばかりに、のっそりと登山道を歩いています。

    出会ったのはこのあたり。

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    えっ、熊の写真はないのかって?

    無理 無理 無理 無理 無理 無理。
    出会った瞬間、全身固まって、写真どころじゃなかったんですって。

    もうね、会えば分かりますから。
    ほんと、なんもできなかった。

    この後、熊さんは藪の中へと戻っていかれました。
    恐る恐る通過します。
    と、強烈な獣臭が立ち込めて。

    あー、これが野生の熊の匂いなのね。
    この匂い、一生忘れないことでしょう。

    で、その30分後。
    登山道の分岐点に差し掛かります。

    右側の道に行こうとしたところ。
    茂みの向こうになにかいる。

    木の実を食べる音がします。
    間違いありません。
    すごい確率。1日に2度も会えるなんて。

    「あのー、そこ通してもらえませんか」
    と呟いてみたものの。
    熊さんが「はい、どうぞ」と応えてくれるわけもなく。

    ためしに、鈴を手にとって鳴らしてみました。
    「ウーッ」とうなり声が返ってきます。
    あ、返事してくれた。でも怒ってる?

    もう一度、鈴を。
    今度は「ガウーッ」。
    威嚇されました。
    どうやら機嫌を損ねてしまった様子。
    お食事を邪魔したのがいけなかったのでしょう。

    ここで三択。
    1.右の道を進んで、熊とケンカする
    2.引き返して、さっきの熊に再会する
    3.左の道へ進む

    そりゃ3.しかないでしょ。
    でもですね、左の道を進むと、もうひと山越えなくちゃいけないのですよ。

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    結局、登りましたよ。
    もうひと山。
    足が悲鳴を上げています。

    ここから下山する道が、これまたとんでもなく長い。
    山から下りたころには、あたりは真っ暗になっていました。

    川上弘美さんの『神様』のように、熊と心を通わせることはできないのでした。