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卒制報告_16
2020-03-04(卒制報告_15のつづき)
2月第2週(提出締切りの週)。
フレーム製作と最終組み立てをお願いしている会社さんから、
「組み立てのスケジュールが確定したのですが、立ち会われますか」
と連絡が入る。「ちょっと時間がないのでお任せします」
という回答をするはずもなく、
指定された日時に工房を訪れると、
ちょうどアクリル板に木球を仕込む作業中でした。当然、私も途中から参戦。
いよいよ最終形に近づいているという現実感と、
イメージ通りできあがるのかというドキドキ感。※担当してくださったお2人はともに美術系の学校卒でした。 担当のお二人の丁寧かつ出際のよい作業のもと、
組み立てはどんどん進み、
4時間くらいでついに完成!1号機 2号機(逆光にて) 心配された木球の回り具合ですが、
完ぺきではないものの、
コンセプトに支障ない程度には回ってくれています。今週末の提出締切りに間に合う目途が立ち、
とりあえず、一安心です。東京マラソンをみて
3/1(日)の東京マラソン。
卒制の講評会があったので、リアルタイムでは視聴できず。
録画を見るまで結果を知りたくなかったので、
帰りの電車内の動画ニュースから目をそらし、
スマホも封印で帰宅しました。結果、大迫選手の激走、見ごたえがありました。
22km過ぎで遅れはじめた時は、
「キツイかな」と思いましたが、その後のレース展開が見事。サブスリーレベルで4分/㎞くらいのペースなのですが、
それでも3秒/㎞違うと体感的にかなり違うので、
3分/㎞ペースだと1~2秒のラップ差がものすごく速く感じているはず。
そのあたりのレースマネジメントがうまかったですね。ただそれだと自分との戦いなので、
他人との競争には勝てない。
そういう意味で井上選手のチャレンジも素晴らしかった。レース独特のあの感じ、また味わいたくなりました。
それには練習に向かう勇気が必要ですが。卒制報告_15_突然に終わりを迎えた卒業制作
2020-03-02(卒制報告_14の続き)の予定でしたが、
ちょっと内容変更して書きます。2月29日(土)、
鷹の台キャンパスで設営作業。
作品本体のブラッシュアップは当然のことながら、
展示パネルをセットしたり、
バナーやプロジェクターをワイヤーで吊ったり、
展示物としての完成を目指す。午後になってアナウンスがあり、
特に構えることもなく集合場所に行くと、
1枚の紙が配られ、課程長から以下のコメント。「卒業展示および卒業式は中止します」
まじか…
都内の美術系の学校は例外なく卒展を見送っているらしい。状況考えると当然の流れだけど、
311の時もムサビ卒展は開催したと聞いていたので、
どこか高をくくっていたところがありました。
でもまあ、そりゃそうですよね…これまでゴールとして目指してきた卒業展示と卒業式の両方がなくなった今、
駆け抜けるべきは明日(3/1)の講評会と3/6以降の作品撮影。もともと「人に見てもらうことこそモチベーション」というタイプでもなく、
自分が納得できるかどうかでやってきたので、
ここへきて手を抜くとかありえないですが、
正直、内心は複雑です…
※講評会が終わったらみんなに配ろうと思っていた案内状。
日の目を見る機会はなくなりました。卒制報告_14
2020-02-27(卒制報告_13のつづき)
2月第1週。
アクリル板の加工が始まったということで、
現物を確認しに工場を訪れる。現場に通され、
「こちらです」と先行して加工された2枚のブツを見せられる。
※2枚重なっています。持参した木球を2枚のアクリルに挟み込み、
回り具合をテストしてみましたが、
アクリルをカバーする剝離紙が貼ってあるのと、
2枚をきっちり密着させた状態ではないので、
いまひとつ回りが悪く、不安になる。担当の鈴木さんは、
「さっき社内の人間で試してみたら、きちんと回ってましたよ」
と言ってくれたものの、
自分の目で確認しないことにはそんなの信じられない。とは言うものの、この期におよんで打てる策もなく、
このまま残りの2枚も進めてもらうしか、
実質的な選択肢はない状況。翌日、フレーム製作と最終組み立てをお願いしている会社に持ち込んでもらうことになっていたので、
自宅で加工した木球たちも一緒に配送してもらえるようお願いし、
その日は帰りました。
※加工済みの木球。一球ずつ丁寧に紙にくるみました。この状況においては、
自分が頑張って何とかできることはほとんどなく、
神様にお祈りするくらいしかできない。
やれるものなら、徹夜でも何でもして、
納得いくまで出し尽くすのに。作品提出まで10日を切り、不安しかありません。
卒制報告_13
2020-02-26(卒制報告_12のつづき)
1月下旬。
アクリル板の加工順を待つ間に、
板に打つネジの位置とフレームの仕様を確定する。こうやって画像を上げると、
仕様は順調に固まっていったように見えますが、
アクリルもフレームも、
職人さんとの間で喧々囂々がありました。アクリルに打つネジの数と位置、
フレームの形状、太さ、塗装などなど、
造形的にこだわりたい私と、
確実に納品まで持っていきたい現場とのせめぎ合い。ときに険悪な雰囲気になりつつ(汗、
何とか着地することができました。今回、学んだこととしては、
木球もアクリルも鉄もそうだったのですが、
世の中の部材には基本的に規格サイズというものがあって、
それをうまく使って設計するのが一番安価で仕上がりもキレイということ。
(それをしてないから、1,000万円の見積りが出てきてしまう)例えば、鉄は裁断や溶接で熱が加わるとどうしても歪みが発生してしまう(+加工賃も発生する)ということから、
職人さんのアドバイスで、
角パイプや鉄板など、できる限り既製サイズをそのまま使う設計で進めました。こういうリアルな現場情報のもと、
「あーでもない、こーでもない」と、
職人さんとプロダクトを作り上げていくプロセス。
仕事にできたら最高やな。卒制報告_12
2020-02-21(卒制報告_11のつづき)
1月下旬。木球が届く。
横10個×縦16個×2セットで320個が必要。
不良品や仕損じの発生も予想されるので、
少し余裕をみて350個発注しました。ここから木工用ステインで半球を塗装していくのですが、
塗装作業については、
イメージ編集Ⅱで制作したSaku-ballで経験済み。いきなり塗ると、
きれいに塗れないし効率も悪いので、1)自作の治具を使って鉛筆で薄く”赤道”を引く
2)鉛筆の線を目印にマスキングテープで非塗装部分を保護
3)水性ステインで塗装という工程をふみます。
塗装は何回重ね塗りするかで色味が変わってくるので、
1~4回の塗りテストの結果、
基本は2回、余裕があったら3回ということにしました。
※右から重ね塗り回数1→4回300個以上あるので、1)も2)も3)もそれなりに時間がかかる。
家族総出で手伝ってもらい、
1週間以上かかって何とか全部塗り終えました。
※これで半分くらいです。それにしても、
工数仕事って人工の力がすごい。
ひとりだと丸一日、10時間以上かかる作業も、
4人でやればさくっと午前中で終わってしまう。本当にいろんな人に助けてもらいながら進んでおります。
卒制報告_11
2020-02-20(卒制報告_番外のつづき)
1月中旬。
アクリル板の試作品があがってきたという連絡。どんな感じなのかドキドキしながら、
会社を訪問する(こちらの会社、土曜は営業日なのです)。担当の鈴木さんから、
「rもきれいに出てますし、球の回りも大丈夫そうです」
とこちらを手渡される。空中に浮かんだ木球が不思議な感じで、
Y先生の言葉を借りれば、”オーパーツ感”はきっちり出てます。ポリカの透明ねじがやや目立つのと、
球と球の間隔がちょっと開き過ぎている気もしますが、
これ以上つめると割れてしまうリスクもあって、
これが限界。穴の削りも試作よりもきれいで(当たり前です)、
あとは工作機械が空くのを待って、
本製作に入っていただくことになりました。また一歩、前進です。
卒制報告_(番外)卒業にリーチをかける
2020-02-17(卒制報告_10のつづき)
お正月休み。
木球もアクリル板も納品待ちなので、
できることと言えば、フレーム(外枠)の設計くらい。
でもそこは鉄工屋さんの意見も聞きながら固めていきたいので、
今はなかなか進めにくい。ということで、最後の最後、
実はまだやり残していた(⁉)「イメージ編集Ⅱ」の課題に取り組む。内容としては、アートやデザインの発想方法を、
「比較」「反復」「反転」「転置」
「拡大縮小」「演出」「省略と鈍化」「変換」
という8つのテーマで理解し、
そのうちの1つのアプローチを使って作品を制作するとともに、
その解説を所定のフォーマットに落とし込んでデザインするもの。で、今回せっかく卒制でたくさんのプロトタイプを作ったので、
それをうまく流用して提出することにしました。作品タイトルは『Saku-ball』
朔望(月の満ち欠け)のような球(ボール)で、
絵や文字を作るから「サクボール」。選択したテーマ分類は「変換」で、
デジタル的な単位である”画素”という考え方を、
アナログの機構に「変換」した作品です。業者さんにΦ30㎜の木球を追加でお願いし、
穴がちょうど同じ大きさのチョコレートモールドを受け皿として、
知育玩具的な作品に仕立てました。
※ちょっとたこ焼きみたいですね…これに合格できれば、残す単位は卒制のみ。
いよいよ、卒業にリーチをかけられます。卒制報告_10
2020-02-14(卒制報告_9のつづき)
12月27日(公募ガイド社の年内最終営業日)。
会社の納会を中座させてもらい、
アクリルの見積りが出てきた2社のうち、
安かった方の会社さんを訪問。大田区にある会社さんで、
場所は下町ロケットの佃製作所のすぐそば。
町工場をイメージしていたのに、訪問してみたらけっこう立派なビルで、
担当の鈴木さんも信頼できそうな印象を受けたので、
その場で発注をお願いする。で結局、仕様はこんな感じに決めました。
球の大きさはΦ60㎜と最後まで迷いましたが、
アクリルの割れるリスク、
球がこぼれ落ちてしまうリスク、
重量増に伴う安全性のリスクなど、
より確実性が高いΦ50㎜を選択することにしました。造形的には60㎜の方が良かったんですけどね…
スケジュールとコストの関係で、
アクリルの専用刃物を試作することができず、
確実な方を選択せざるを得ませんでした。でも最難関と思われる球とアクリルのギミックが、
何とか年内に先が見えてきて、
ちょっとだけ安心して新年を迎えられそうです。卒制報告_9
2020-02-13(卒制報告_8のつづき)
12月下旬。
アクリルの加工業者さん探しが始まりました。直接お会いしてやりたいことや仕様を説明したり、
試作の現物を確認したり、
遠方だとちょっと難しいと判断し、
都内を中心にやってくれそうな会社にアプローチをかけます。10社くらい声掛けした時点で、
「やれます!」と明言してくれた会社は1社も無し。
「ああ、またか…」という感じです。さらに10社くらいあたった時点で、
ようやく「多分やれると思いますよ」という会社にめぐり合う!さらに追加で問い合わせていると、
何社か見積りを出してくれそうなところが出てくるも、
タイミング的にはクリスマス。
世間はすでに年越しモードで、
「現場が動いてないので、提案は年明けになります」と言われてしまう。そうこうしていると木球の業者さんにも、
「年内に発注しないと1月納品が難しいので、早く球のサイズを確定して欲しい」
と急かされる。そんなこと言われても、
ベースとなるアクリルとの組み合わせを検証しないといけないので、
アクリル側の目途が立たないと何とも回答できない。ああ、もうどうしよう。