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デルトロ作品の振り幅よ

Yです。
映画のネタがなく、前回は苦し紛れに美術館のことを書きましたが、
もう大丈夫です。ちゃんと映画を観ました。

今回は、現在上映中の「ナイトメア・アリー」について語っていこうかと思います。

「シェイプ・オブ・ウォーター」で有名なギレルモ・デル・トロ監督の作品です。
ナイトメア・アリーとは「悪夢小路」のこと。
舞台は1960年代アメリカ。ショービジネスの成功を夢見る男が、カーニバル(サーカスみたいなの)にたどり着き、
やがてその才能で興行師のトップにのぼり詰めるものの、繁栄の先には闇が待っていた……という内容です。

物語の特性上、あまりネタバレできませんが、
「エディプス・コンプレックス」をいや~~な感じで盛り込んだ、
品のない言い方をすると、“胸糞”ノワール映画でした。

「エディプス・コンプレックス」とは、
ギリシア神話に登場するエディプス(オイディプス)王が由来の精神分析用語です。
エディプス王が父親を殺し、母親と結婚したという物語を元に、
「男子は無意識に父親を憎み、母親へは性的愛情を持つ傾向にある」と社会学者・フロイトが提唱したもの。

(こういうネタ好きだけど、いざ映画として鑑賞するとしんどい……)

ネタバレ過激派なので、具体的な例は割愛しますが、
私の最初の感想は「高熱を出したときに見続ける悪夢」でした。

ただこの作品がすごいのは、「恐ろしい映画」だけでは終わらない物語構成の巧みさ!
小物や登場人物すべてに、メタファーとしての役割を持たせているので、
鑑賞後の考察が止まらない~!

風呂敷はとことん大きく、でもしっかりたたむ。
自分の好きなものを好きなだけ盛り込むのがうまい。
やっぱり、ギレルモ・デル・トロ監督は天才なんでしょうね。

後日、気を取り直して(?)
同じくデルトロ監督作品である「パシフィック・リム」を鑑賞したところ、
怪獣vs巨大メカという、ロマン!ロマン!ロマン!をてんこ盛りに浴びる結果に。

同じ人間が作ったものとは思えない……。

温度差で風邪を引きそうになりました。
Yでした。