父の日と食卓と映画
最近入社しました、Yです。
これから様々なことを吸収し、一人前になるため奮闘してまいります。
ブログで書いていくのは、映画について。
休日を動画配信サービスで潰す私の、アウトプットスペースに使っちゃいます。
「最近観たもの」などではつまらないので、2つのテーマを掛け合わせてお話ししていきます。
第一回。
あと1ヶ月ちょっとで父の日ということで、
「お父さん×食卓」をテーマに映画を語っていこうかと思います。
ご紹介したいタイトルは2本。
まずは、
「トウキョウソナタ」(2008)
黒沢清監督作品です。アンジャッシュの児嶋さんの役者デビュー作品なんだとか。
現代日本で「普通」と呼ばれる家族が抱える問題を、
リアルに、不穏に、黒沢ワールド全開で描き出しています。
「トウキョウソナタ」は4人家族の物語。
リストラに遭うもプライドが邪魔をして家族に言い出せない父親。
新しい自分を探すためにイラク戦争へ出兵しようとする長男。
何もない、けれどあるきっかけから才能を見出し、変わっていく次男。
そんなちぐはぐな家族を家族の形にしているのは、ごく普通の専業主婦である母親。
劇中ではたびたび食卓が映し出されますが、
特に象徴的なのは、冒頭で「父親」が「いただきます」を言うまで家族が食事を待つシーン。
―――ビールを冷蔵庫から取り出し、着席。掛け声。
そこからようやく、食事の時間が流れ始めるわけです。
このシーンだけで、ありありと家族の関係性、つまりパワーバランスを明確にしています。
しかし物語が進むにつれだんだんと「家族団欒」の食卓は失われていきます。
食卓という繋がりが薄れ、家族の崩壊を可視化しているよう。
静かな崩壊が、あとでじわじわと恐ろしくなるのですが、終始コミカルタッチなのがとても好みです。
もう一つ、父親と家族の関係性を「食卓」で端的に描き出している作品があります。
「冷たい熱帯魚」(2010)
「新宿スワン」などで有名な園子温監督作品です。こちらはR18指定となってしまいますが・・・。
まず、開始五分。食卓には冷凍食品だけが並び、何の感情もなく掻き込む家族の姿。
ここで父親は「おいしいね」と呟きます。
先ほどの「トウキョウソナタ」とは対照的に、うだつの上がらない父親です。
ですが面白いのは終盤。
もう一度、同じ構図で、同じ冷凍食品の食卓を囲むことになります、が。
そこには180度異なる父親の姿が。
シンプルかつ決定的に、家族の変容を表現しているシーンを見て、冒頭の食卓を思い出さない人はいないはず。
個人的に「食卓」がテーマなら一番鮮烈で、感動しました。
どんな父親に変化したのか。なぜそうなったのか。
これは割愛します。ぜひ大人の方はご覧ください。
・・・ちなみに「トウキョウソナタ」のメインビジュアルも必見です。
白の背景。黒い椅子。ピアノの形をした机。
家具だけならほとんどシンメトリー構図ですが、そこにバラバラに座る家族が、「不協和音」のようなアシンメトリー構図にしています。
第一回なのでつい長文になってしまいました・・・。
「食卓」はどの映画でも何かを象徴させることが非常に多いですよね。
もしおすすめの「○○×食卓」や、「お父さん×○○」があれば教えてください!
次回は、六月ということで鉄板のお題。
「雨×〇〇」で書いていきます。
Y