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全集『戦争×文学』

2018-06-20
ゆとり日記

こんばんは、
先週科博の人体展に行ってその神秘を垣間見てきました、ババです。

さてさて、今回泉鏡花『化鳥』の話をしようと思ったのですが、
またまた写真を撮り忘れました。
いやー、家に帰ると寝るだけなのでなかなか
思い出せないもんですね。
次回、今までのも含めてまとめて撮ってきます。

ということで今回はここ何年か欲しいと思っているけど
高くて手が出ない全集『戦争×文学』をご紹介します。
https://www.shueisha.co.jp/war-lite/top.html

そもそも全集ってやたら凝った作りのものがかなり多いのです。
基本的には作者でまとめられているものが多いのですが、このように
テーマで絞っているものも少なからずあります。
この形式をはたして「全集」といってよいかどうかの議論はさておき
各出版社を代表するものと言っても過言ではありません。
いわば出版社の顔。
そのため装丁から中身の注釈、あとがき、解説に至るまで
多くの時間を要して作られています。

で、この全集『戦争×文学』も例に違わず凝っている。

まず、全集って函本が多いのですが、利便性を考慮してか、
函本でないのです。
最近の本ではないこともないですが、一昔前の全集は
みんな箱に入っているといっても過言ではないほど
ほぼ函本です。
箱の役割はその本を保護するということ。
全集は全巻揃えると決して安くはない金額だし、そもそも重いので
自宅での長期保管が基本です。そのため、どうしても函本が
デフォになっているのですが、わざわざ箱から出したりしまったりするのって
意外と面倒くさいのです。
保存よりも機能性を重視した珍しい全集なのです。
昔の全集とは一線を画す、ある意味で現代チックな全集なのかもしれません。

次に凝っているとおもうのは、各巻に記載されている漢字。
各巻には漢字一字でテーマ性を持たせ、その漢字は有名な書家(らしい)華雪さんが書かれているとのこと。
書のよさとかは全然わかりませんが、
表紙にでかでかと配されているのでかなり目を引き、興味をそそられます。

そして、選考委員の人選が秀逸。
浅田次郎、北上次郎など有名な小説家や評論家はいわずもがな、
川村湊さんがおられるではないか!
文芸評論をされていて、法政大学の教授を務められているのですが
僕の印象としては民俗学にも明るいのだろうなあという方です。
戦争というと、社会学や近現代史学的側面から見られがちなのですが、
あえて政治的でない、大衆に寄り添った戦争を考えることができる川村さんに
選考委員の一人になっていただいているのは秀逸としか言いようがない。
一般にも目を向けてこその戦争なのですね。

最後に、日本人は戦争というと第二次世界大戦を思い浮かべがちですが、
1894年の日清から始まり、最近の世界で起きた戦争に関する小説も
収録しているとのことです。
ここからも多くの側面からこのテーマをとらえようという気概が伝わってきますね。

収録作品を見たところ、やはりほぼほぼ知らない(聞いたこともない)作品なので是非読んでみたい!
全20巻+1巻で、お値段75,600円。
全集の1冊の単価としては良心的だとは思いますが、、なかなか手が出せません…

興味が湧いた方、読んでみて感想をお聞かせください!