No Movie, No Life なはなし(アートすぎてもはやよくわからない映画編)
夏も目前、といった陽気が続いています。
芝公園でのランチが捗る季節ですが、目の前をホバリングしたり、ひたすら後を追いかけたりして
こぼれたご飯を狙うスズメやハトと戦っている鈴木です。
さて、前回のエントリーでは胸糞映画をご紹介してみましたが、その中で挙げたファニーゲームについて聞かれたり
微妙に反応をもらったので今回も映画ネタを続けてみます。
今回は「アートすぎてもはやよくわからない」映画特集です。
デレク・ジャーマン「BLUE」
1994年にHIVで亡くなったデレク・ジャーマン監督の作品。
彼は死の直前まで映画を作り続けており、遺作となったのがこの作品。
この作品を作っていたときには、既に目が見えなくなっていたため
なんと終始、画面が全面青一色という画期的過ぎる映画を作り上げました。
セリフや音楽、効果音のみで展開していく作品。
映画の概念を覆す唯一無二の作品です。
デレク・ジャーマンは他の作品も好きで、この「BLUE」も含めてDVDを持っていますが、
他の作品では鮮やかな色彩による映像美を楽しめます。
ちなみにこの作品、かなり前にやっていたTV番組「トリビアの泉」でも紹介されたそうです。
ヤン・シュヴァンクマイエル「悦楽共犯者」
チェコのシュルレアリスト、ヤン・シュヴァンクマイエル監督の1996年の作品。
公開当時、某音楽系の雑誌でこの作品の紹介を見て以来気になって、実際に作品を見てからハマりにはまった監督。
下北あたりにいそうなサブカル好きな人の間では超有名な監督なので、ご存じな方も少なくないかもしれません。
チェコというお国柄、風刺的な作品が多い方ですが
中でも食や性的なメタファーを多用する監督です。
その中でも特に後者にフォーカスしたのがこの作品。
色々な「癖」を持った人たちが、自らの欲を満たすために起こす様々な行動を収めた作品ですが
なんとも理解が難しい「癖」の方々がたくさん出てきます。
しかもセリフは一切なく、ほぼ効果音のみ。
ストップモーションのアニメーション技法と、過剰な効果音の演出で
視覚的にも音的にも他では味わえない異常な空気感を作り上げています。
ちなみに十数年ほど前に葉山の神奈川近代美術館で実施されたヤン・シュヴァンクマイエル展に行った際に
この作品で出てきた欲を満たすために作った数々の道具を見てとても感激したのを覚えています。
あとDVDコンプリートしてますが、短編作品にも素晴らしい作品が多いです。
今回は以上2本のご紹介です。
どちらも考えるだけ無駄なほど尖った作品ではありますが、話のネタくらいにはなるかもしれません。
アクションや恋愛など、メインストリームな作品のなかにもとても良い作品は沢山あると思いますが
たまには尖った作品もいかがでしょうか?