あなたがその自販機で水を買う理由(仮)
卒業制作の企画内容について、
SNS上で先生とやりとりを繰り返しています。
今、私がテーマとして考えているのが、
「あなたがその自販機で水を買う理由(仮)」
ちょっと訳がわかりませんよね。
では、普段の生活でこんな経験はないでしょうか?
・鰻屋さんで悩んだあげく、松竹梅の「竹」を選んでしまう
・銭洗い弁天でもらってきた5円玉は、財布に入っていても使わない
・家具屋で「クローゼット10万円は高い」と反対する妻が、新築時の備え付け家具10万円には、「それぐらいならつけようよ」と言う
・いつもお調子者のあいつが、東大卒とわかったとたんに「バカもできるやつ」という評価にかわる
合理性だけで考えると、
銭洗い弁天で洗うが洗うまいが5円は5円だし、
10万円の家具はいつどこで買っても10万円の痛みを伴うはずです。
にも拘わらず、時に安いと感じたり、別腹で考えたりしてしまう。
このような「必ずしも合理的とは言えない人のふるまい」について解明しようとするのが、
「行動経済学」というアプローチです。
昨年、リチャード・セイラー教授がノーベル賞を受賞したことで関連書籍もたくさん出ているので、
ご存知の方も多いかもしれません。
ビジネスをやっていてずっと前から気になっていたというのが根底にありますが、
もしこれをデザインで表現できたら面白い作品になりそうだし、
何より自分の(経済学部→ビジネスコンサル→経営者→美大という)これまでの結晶になる。
そこで、
「(行動経済学を使った)新しいソリューションを提案する」のか、
「(行動経済学の)プロセスを展示で体感してもらう」のか、
そんな感じの作品を卒業展示として制作しようと考えたのです。
今のところはまだリサーチフェーズなので、
身近に転がっている行動経済学(例えば、上の4つのような事例)を探し歩いていて、
それはとても楽しい作業なのですが、
近いうちに創作特有の苦しいステージに突入するはず。
難易度も相当高い(先生からもそう言われている)
そこを踏ん張って、
「この非合理的な行動を、サービスや事業に織り込めたら」という思いがちょっとでもクリアーになれば、
それはラッキーなことだなあ。