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中山道を行く 第6週

編集部の黒田です。
今回は、「中山道を行く」第6週をおおくりします。
第6週は、早朝に高崎宿まで始発で行き、板鼻宿、安中宿を経由し、松井田宿まで行った。

この日は朝から雨模様だったが、始発に乗って群馬まで来て、雨だから帰るというのもなんなので、ままよと歩き出す。途中、安中にある新島襄の生家に立ち寄ったまでは小降りだったが、そのあとは本格的な雨となった。ときどきは強く降るなか、まさに濡れねずみとなりながら、なんでもない田舎町の平坦な道をただ歩いている。何をやっているのかって感じだ。

安中には安政遠足侍マラソンという大会がある。安政遠足は、安中藩主板倉勝明が藩士を安中城門から碓氷峠の熊野権現神社まで走らせたのが起源。鍛錬のためであり競争ではなかったが、日本のマラソンの発祥と言われ、地元ではこれにあやかり、マラソン大会を実施している。碓氷峠は歩いて登るのも大変だが、あれを走って登るとは。いやいやご愁傷さま。

安中といって一つ思い出した。ゴルフに行ったとき、たまたまこのあたりの蕎麦屋に立ち寄ったことがあった。同行者お薦めの一品は大きな鉢に三人前の蕎麦が盛られたもので、おぼろげな記憶では「さわち蕎麦」という名前だった。それから20年が経ち、「あれ、うまかったな」と検索してみたのだが、安中と言わず群馬には「さわち蕎麦」なんてなかった。

こうなったら現地まで探しにいこうとまず安中の隣、富岡に立ち寄った。麺のことは麺屋に聞くのが早いだろうと、昼食を兼ねてうどん屋に入り、会計の際、「大きい皿に三人前が乗った蕎麦を出す店を知ってますか」と聞いたが、店主は首を傾げるばかり。同業者が知らないのではとうにつぶれたかと落胆していると、客の一人が「あ、それ、高崎ですよ」と。

その客にだいたいの方向を聞き、車で聞き込みを続ける。高崎市に入ったあたりで通りすがりのおばさんに聞くと、1kmほど先の「市川」という蕎麦屋ではないかと言う。そこに行くとなんと「今日はもう蕎麦がすべて売り切れたので店仕舞い」だった。絶望しつつ、店主に「ここは大きい皿に三人前が乗った蕎麦の……」と聞くと、「ああ、それは」と首を振った。

目指す蕎麦屋は「めんぼう山本」という別の店で、店に入った瞬間、ああここだと思い出した。早速、蕎麦を注文する。「さわち蕎麦」は記憶違いで、実際は「こはち蕎麦」だった。一日中、群馬で蕎麦屋を探しまわり、日が落ちる頃にやっと見つけ、食ったらすぐに帰る。特に観光もレジャーもなし。人が聞いたら、何をやっているのかって感じかもしれない。