No Movie, No Life なはなし(その2)
以前の投稿でチェコの映画監督、ヤン・シュヴァンクマイエルについて取り上げたのですが
なんと新作の完成と同時に引退を表明されていたそうです。
もう1カ月ほど前の事のようでしたがまったく知らず、
たまたま渋谷にある映画館"UPLINK渋谷"のスケジュールをみていたところ
「シュヴァンクマイエル引退記念上映会」というイベントが目に留まり、知る事となりました。
今のところ最新作の「サヴァイビング・ライフ」まで(恐らく)全ての作品を見てきた私としては
とても残念な気持ちでいっぱいですが、
御年84歳という事を考えるとここまでよく作り続けてきたなと尊敬の念もいっぱいになります。
私個人の経験ですが、ものづくりする人は一度止まったらアウトだと思います。
私の場合は学生時代、音楽に没頭しバンドや個人で様々な音楽を作ってきましたが
やがて社会人となり生活の中心が徐々に仕事にシフトしていくと
どうしても作業時間は深夜に睡眠時間を削って、という感じになってしまっていました。
それでもライブへの参加など声を掛けてもらえている限りは続けていたのですが
たまたま当時勤めていた会社で(1年だけ)転勤することとなり
そこで完全に途切れてしまいました。
知人は誰一人いない場所に1人で移り住むと、ライブにでないか?といったお声がけは当然ありません。
さらに1年だけ、という期限があったのでこの場所で根を張ってもう一度、という気にもなれません。
そうなると音楽を作ろうという「動機」が無くなってしまい、さらに仕事にシフトしていってしまいました。
その後、また東京に戻ってきたのですがその頃にはすっかりと創作への熱が冷めてしまっていました。
一度ブランクが出来てしまうと、また久しぶりにやろうとしても何かしっくりこない。
なんとなく感覚が鈍った気がしてしまうのです。
そうなるとまた創作することから遠ざかってしまう。
この繰り返しに陥ると、またバリバリやってた頃のように戻るのは非常に困難になってきます。
ヤン・シュヴァンクマイエルは御年84歳となったこれまで、創作活動を続けてきましたが
チェコという国の中では彼が作った作品は異端として様々な制限を課されたこともあるそうです。
何故、彼はそれでも作ることを辞めなかったのかは分かりませんが
この歳まで続けるための情熱を失わずにいた事にはうらやましくも感じます。
彼の作品はグロテスクな表現や性的な表現が多く、あまり自信を持ってはおすすめできませんが
機会があれば短編一本くらい、見てみてください。