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マーケティング手法として「コンテストの開催」を選択する理由

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コンテストは、近年、企業のマーケティング活動において注目されている有効な手法の一つです。
本稿では、コンテストをマーケティング戦略の一環として活用する際のメリットと、具体的な活用事例について詳しく解説します。

コンテストがマーケティングに活用される理由 

企業がコンテストをマーケティング手法として活用する主なメリットは以下の3点です。

1.消費者参加型のマーケティング

ウェブメディア・マスメディア等に表示する広告手法は企業からユーザーにむけた単方向型の広告であり、目にしたユーザーの反応を確かめることはできません。
一方、コンテストでは企業と消費者の双方向のコミュニケーションを生み出すことができます。応募者は自らの作品を入選させるために、企業の意図や商品の背景情報を主体的に収集するため、通常の広告では得られない高い関心を抱くことができます。これにより、ブランドへの愛着やロイヤルティの醸成につながります。

2.ストーリー性のある長期的な活動

コンテストには「告知」「応募」「選考」「発表」「表彰」といった時系列の流れがあり、3か月から半年ほどの期間にわたって段階的に展開することができます。各フェーズごとにPRの内容を変化させることで、応募者の飽きを防ぎ、長期的な関心を維持することが可能です。

3. 「認知拡大」以外の目的の達成

コンテストを通じて、単なる認知拡大以外の目的も同時に達成できます。
例えば、SHIBUYA109のロゴマーク募集は、採用作品が実際のロゴとして掲出されるため、一定以上のクオリティが求められていました。つまり、「競争原理」からくる目的も同時に設定・達成をしています。
 
以上から、プロモーションとして公募を活用するメリットは

  • 消費者参加型の企画によって、通常の広告では得られない高い関心を獲得することができる
  •  公募のストーリー性によって、長期的に飽きられないプロモーション活動を行なうことができる
  •  「認知拡大」以外の目的(競争原理・才能の発掘など)を同時に達成することができる

ということができます。

コンテストを活用した具体的な事例 

ここでは、企業がマーケティング手法としてコンテストを活用した具体的な事例を2つ紹介します。

1. 「マクドナルド名前募集バーガー」

2016年、マクドナルド日本は「名前募集バーガー」キャンペーンを実施しました。これは、新商品の名称を一般から公募するというものです。結果、なんと5百万点を超える応募があり、大きな反響を呼びました。

マクドナルドがこのキャンペーンを企画した狙いは以下の3点でした。

  1. 新商品の開発に消費者の声を活かすことで、ニーズに沿った商品づくりを実現する
  2.  応募者の熱心な参加により、新商品に対する事前の関心と期待感を醸成する
  3.  大規模な応募数によるブランド認知度の向上を図る

つまり、コンテストを通じて新商品開発への消費者参加、ブランドへの関心喚起、認知拡大といった複数の目的を同時に達成しようとしたのです。

2. 「SHIBUYA109 新ロゴコンペティション」

2018年、SHIBUYA109は「新ロゴコンペティション」を開催しました。ブランドイメージの刷新を目的に、一般から新ロゴデザインを公募したものです。5,000を超える応募があり、大きな反響を呼びました。

SHIBUYA109がこのコンペを実施した狙いは以下の3点でした。

  1.  新ロゴデザインの公募により、ブランドイメージの一新を図る
  2.  消費者参加型のキャンペーンによる関心の喚起と共感の獲得
  3.  優秀作品の採用による「競争原理」の導入

つまりコンテストを通じて、ブランドの刷新、消費者との関係性の強化、優秀な人材の発掘といった複数の目的を同時に達成しようとしたのです。

コンテストの持つ可能性 

マス広告の効果低下やSNSの普及により、企業にとってコンテストを活用したマーケティングの機会が増えてきています。消費者の主体的な参加を促し、長期的な関心を引き出すことができるコンテストは、今後ますます注目されるマーケティング手法になると考えられます。
企業は自社の目的に応じて、コンテストのテーマや仕組みを最適化することで、より効果的なマーケティング活動を展開できるでしょう。消費者とのエンゲージメントを深め、ブランド価値の向上や新たな価値創造につなげていくことが期待されます。