コンテストの継続には、時代に合わせたオンライン化がカギとなる
TIS公募委員長兼事務局長 影山徹様
公募ガイド社がご支援したこと
- Kouboプランナー(出品料パッケージ、審査パッケージ)
コンテストの継続には、時代に合わせたオンライン化がカギとなる
2025年に記念すべき20回目を迎える、一般社団法人東京イラストレーターズ・ソサエティ(以下「TIS」)主催のコンペ「TIS公募」。年1回開催されているイラストレーション作品に特化したコンペで、毎年1000人弱のプロを含むイラストレーター志望者たちがしのぎを削っています。
本賞の運営には、公募ガイド社のシステム「Kouboプランナー」を採用していただいております。Kouboプランナーを導入した理由や背景、導入後に届いた応募者や審査員からの声や反応などについて、TISの会員イラストレーターであり、公募委員長兼事務局長の影山徹様にお話をうかがいました。
次世代を担うイラストレーターのためにできること
――TIS公募が開催されるきっかけとなったことや、現在の公募の目的を教えてください。
影山様:TISが設立された当時は、第一線ですでに活躍していたイラストレーター40名ほどの会員で構成されていました。(2024年10月現在の会員数は295名)。そのため公募は、TISの知名度向上や会員を増やすことが目的でした。いわば、TISのための公募ですね。
しかし現在は、自分の作品をプロに評価してもらいたい人やイラストレーターを本気でめざしている人に、広く応募してほしいという思いから開催しています。近年、ギャラリー主催のコンペが減少傾向にあり、いわゆる腕試しができる機会が少なくなっていると感じています。イラストレーターになりたい人が挑戦する場として、今後も続けていきたいと考えています。
審査や出品料管理のオンライン化で、省人化・省力化を実現
――Kouboプランナーのシステムを導入する決め手となったサービスや機能などについて教えてください。
影山様:システム導入前から、公募に関する作業をオンライン化することによって簡略化できないかとずっと考えていました。Kouboプランナーを導入したのは、審査や出品料の管理をオンラインでできる点が魅力だったからです。
――ありがとうございます。現在、TISさまには「出品料パッケージ」と「審査パッケージ」をご活用いただいておりますが、システム導入前はどのような課題がありましたか。
影山様:出品料の確認作業が課題でした。システム導入前は、応募者の出品料と応募作品の照合をすべて、手作業で行っていたので、とても時間がかかっていました。
また、審査過程においても、同じような課題がありました。今は5名程度で行っている審査会の準備ですが、システム導入前は原画審査でしたから約30名の公募委員と事務局のスタッフが必要でした。実際に審査する際には、届いた作品の梱包を解いたり、用意した机に作品を並べたり、審査終了後も返却のために再度作品を梱包したり……と、とにかく多くの作業に追われていました。
また、審査のために多忙な審査員の方々にスケジュールを合わせて集まっていただく必要もありましたね。
1人あたりの応募点数が増え、審査の精度が向上
――システム導入によって、変化した点はありましたか。
影山様:顕著だったのは、応募点数が増えたことです。
TIS公募はイラストレーターを評価する賞なので、作品点数が1~2点の応募者は審査が難しく、シビアな評価になってしまうことがあります。しかし、今は1人あたりの応募点数が増えることで判断材料が多くなったので、以前より応募者の力量を見極めやすくなりました。全体的に、審査の精度が向上したと思います。
――1人あたりの応募点数について、具体的にどのくらい増加しましたか。
影山様:Kouboプランナーでオンライン審査を導入してから、1人あたりの平均応募点数は4~5点になりました。原画審査の時は、1人あたり2〜3点が平均値でしたが、最近では1人で10点応募される方も少なくありません。応募者の「1点でも多く作品を審査してもらいたい」「本気でイラストレーターをめざしたい」というような気持ちが、応募点数からも伝わってくるようになりました。
以前から結果発表時に「(入賞者の)ほかの作品をもっと見たかった」という審査員の講評がつく作品も多かったのですが、講評をきっかけに1人あたりの応募点数が変わることはありませんでした。原画審査の頃は、作品をギャラリーに搬入したり、送付したりしなければならないので、力作を1~2点応募するのが関の山……という方が多かったのかもしれませんね。
その点、WEB応募は原画の梱包など煩雑な作業をしなくてよいので、複数応募に対するハードルが下がったのだと思います。
――応募者や審査員など、Kouboプランナーを実際に利用した方の感想や反応についてお聞かせください。
影山様:応募者からは、応募と支払いが同じサイトのページからできるという点がとても使いやすかったという感想が寄せられました。ほかには、応募期間内であれば応募者自身で作品データを差し替えられる点も便利だという意見がありましたね。Kouboプランナーのシステムであれば、一度提出した作品を取り消すために主催者に連絡するという手間がないので、気軽に応募することが可能になったようです。
公募を運営するスタッフからも、応募者からの入金確認や作品の差し替えについての問い合わせが減り、以前より作業が円滑に進むようになったという声がありました。再応募された作品と出品料をつきあわせる作業もなくなったのも大きいですね。
審査員には、審査期間内であれば、いつでも、どこからでも審査に取りかかれるという点が好評でした。本賞の審査はTIS会員だけでなく、ブックデザイナーやアートディレクター、特別企業賞の画材メーカーの方などにも参加していただいておりますので、それぞれの職場から、それぞれのスケジュールに合わせて審査を進められるところは、Kouboプランナーの長所だと思います。
WEB応募の導入で、より実践的な場に
――どのような公募の主催者に、Kouboプランナーの導入を勧めたいですか。
影山様:イラストレーションのように、必ずしも原画の審査にこだわらない作品を公募する主催者に勧めたいです。とくにイラストレーションは、印刷して使用したり、WEBに掲載したりすることが想定されるものに関しては“実際に作品をデータ化して使用した時に、どう見えるか”という点から評価することもできます。
――イラストレーターが腕試しをする場としてある、TIS公募の目的にもつながりますね。
影山様:そうですね。プロのイラストレーターとして仕事をしていく上では、手描きの作品であってもデータ化してクライアントとやりとりをするので、作品をデータ化して使用するという視点は大切です。テクスチャにこだわって作成したものであっても、データ化するとクリエイターが思うような質感に出力されない場合もありますから。
そういう意味で、Kouboプランナー上で作品をデータ化してやりとりをするというのは、イラストレーターを志望する人たちにとって、原画で応募するよりも実践的だといえるかもしれません。
TIS公募をきっかけに若いTIS会員も増えており、さまざまな世代のイラストレーターが所属する組織となりました。これからも、時代の流れや技術の発達に合わせて、全国どこにいても、誰もが気軽に応募できるようなイラストレーションのコンペをめざしていきたいと考えています。