中山道を行く 第13週
編集部の黒田です。
今回は、「中山道を行く」第13週をおおくりします。
第13週は中央本線で上松宿まで行き、須原宿、野尻宿、三留野、妻籠宿の先、大妻籠で民宿に泊まった。
中山道の旅では1日に30kmを目安に歩いていたが、1日の後半に峠に差しかかると、へばっているところに山道となってつらい。だから、峠の直前にある宿を予約し、早朝、元気なうちに峠を越えてしまうという方法をとっていた。
第12週の奈良井宿でも鳥居峠の直前にある民宿に泊まった。ここは80歳のおじいさんが一人で経営しており、客数は1日2部屋限定だった。おじいさんはとても話し好きで、ガイドブックには「家族的な付き合いを好まない人には向かない」(笑)とあった。
第13週は前回の終点、上松駅からスタート。ほどなく、「寝覚の床」を通る。この旅ではとにかく先に進むことを優先し、観光などは二の次だったが、木曽路まで来てしまうと、もうそうそう来られないと思い、興味があるところには寄ってみたりした。
伝説によると、浦島太郎は竜宮城から万宝新書というものを持ち帰ったが、そこには飛行の術が書かれており、浦島太郎はこの術を使って各地を飛びまわり、最終的に「寝覚の床」を終の棲家としたそうだ。木曾川の浸食による花崗岩の渓谷は、なかなかの景勝だった。
木曾川沿いにのんびり歩いていると、民宿から「何時頃、着きますか」と電話。「あと10kmほどです」と答え、3時間後に着いた。宿の人はいつまで経っても到着しないので迷っているのかと心配したという。おばさんは「あれま、歩いて?」と目を丸くしていた。
妻籠宿は奈良井宿より道幅が狭いが、それはそれで風情のある宿だった。街道沿いには旅籠や飲食店が並び、観光客も多い。私は徒歩で通過したが、ほとんどの人は近くにある駐車場に車を停め、そこから歩いてきているらしかった。まあ、そうだよね。
民宿では客は私一人だった(真夏の中山道はオフシーズン)。
翌朝、外から「ツキヒホシ、ホイホイホイ」という鳴き声がし、「あ、サンコウチョウ」と飛び起きてしまった。月日星なので三光鳥。そのさえずりを生で聴けるとは! あれは気分が爆上がりだった。