中秋の名月
2020-10-01
こんにちは、いづみです。
本日、2020年の10月1日は中秋の名月です。
東京はあいにくの雨のようですが、お団子は食べようと思います。
人と会ったとき、挨拶の一環として「良いお天気で」や「もう秋ですね」など、
気候や季節など自然に関する話をすることは多いと思います。
この習慣の始まりは奈良時代以前に遡るという話を大学時代に
日本文学の先生から聞きました。
確か俳句、連句についての講義の際だったと思います。
連句は客と亭主が交互に俳句を詠み合います。
最初の一句は客が読むのですが、季節を寿ぐ句を詠むのがルール。
「良い時に良い句会をしてくれてありがとう、会えてうれしいです」
といった意を込めて気候や季節の良さを喜ぶそうです。
そしてそれは、奈良時代の和歌のころにも通ずるところがあり、
万葉集には舒明天皇という人のこんな長歌がのっています。
大和には 群山あれど とりよろふ天の香具山 登り立ち 国見をすれば国原は 煙立つ立つ海原は 鴎立つ立つうまし国そ 蜻蛉島 大和の国は簡単に言えば、「いろんな山があるがその中でも特に立派な
香具山に上って国見(天皇が国の様子をみること)をした。
国土には(炊事の)煙が立ち、海には(多くの魚を狙い)カモメが飛び
豊かですばらしい国だなあ」という意味。香具山の標高は約152mであり、海は見えなかったはずですが、
これは祈りを込めた「国誉め」の歌であるため、
実際はどうであるかはあまり関係がありません。自然の様子や季節を褒めることは、ただそれ自体を褒めておわり
ではなく、それに関わるモノやヒトを寿ぐことになるということ。この話を聞いたとき、現代の「いいお天気ですね」という挨拶も、
「話題がないし天気の話でもしとくか」じゃなかったんだ!と
ちょっと感動しました。さて、中秋の名月です。素敵な夜をお過ごしください。