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野性時代フロンティア文学賞、幽文学賞 授賞式!

5月14日(木)、都内にて、第6回「野性時代フロンティア文学賞」(主催:KADOKAWA 角川書店)と、
第9回「幽文学賞」(主催:KADOKAWA 角川書店『幽』編集部)の授賞式が行われました。
野性時代フロンティア文学賞の受賞作は、阿川せんりさんの『厭世マニュアル』。
阿川さんは、1988年北海道生まれ、北海道大学文学部卒。
選考委員は、冲方丁(うぶかた・とう)さん、辻村深月さん、森見登美彦さん。
3人とも30代の気鋭の作家で、辻村深月さんは長編の選考委員は初めて。
森見登美彦さんは選考委員自体初めてというフレッシュな顔ぶれ。
受賞した阿川さんも20代で、また一人、将来性豊かなストーリーテラーが誕生した。
なお、阿川せんりさんは、公募ガイド7月号(6/9発売)「受賞のコトバ」に登場予定です。
幽文学賞は、長編は受賞作なし、短編は唐瓜直さんの『美しい果実』に決定。
唐瓜さんは、1985年神奈川県生まれ、大正大学文学部卒。
幽文学賞は、幽怪談文学賞から「怪談」を取り、今回から幽文学賞に改称した。
選考委員の東雅夫氏は、
「『怪談』の二文字が外れたからといって、怪談としてのクオリティを重視しなくなったわけではない」
としたうえで、
「『怪談』に対するわれわれ選考委員の厳格なこだわりが、選ばれる作品の幅を狭める結果になって
はいまいか」と危惧し、公募タイトルからいったん「怪談」を外すに至ったと選評に書いている。
また、同じく選考委員の京極夏彦氏は、
「これまでは『怪談として見るべき部分』さえあれば、小説として多少難があったとしても受賞できていた」
とし、これからについては、
「『怪談』として読んだ場合は多少難があったとしても、それを凌駕する魅力を備えている場合は、
受賞も視野に入ってくる」と選評に記している。
つまり、裾野は広がったが、賞のハードルは上がり、その結果、今回長編部門は受賞なしとなった。
次回は「怪談基準」をクリアしつつ、商業小説としての完成度も一定水準に達している作品を期待したい。