編集報11 巧の巻 其の3「物語の入り口と出口」
2012-11-16
「踊る大捜査線」の君塚良一は、起承転結を「しゃがむ、ジャンプする、ひねる、着地する」と捉えているそうですが、小説は器械体操に似ていて、着地が決まると爽快です。しかし、「あれ、なんかうまく着地できないぞ」ということもあり、そういうときはたいてい起と結が呼応していません。たとえば、「桃太郎」には「村人を困らせる悪い鬼がいる」という前提があり、これが「鬼退治」という結末と呼応しているわけですが、もしも冒頭で桃太郎に「みんな仲良くすればいいのに」と不用意な一言を言わせてしまうと、結末は「桃太郎と鬼は和解する」というような内容でないといけなくなります。物語を着地させられる人はこれを理屈で理解しているか、無意識のうちに感じとっているのだと思います。(黒)



