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編集報 読の巻 其の3「一億三千万人のための小説教室」

2012-11-09

指南書は大別すると二種類ある。一つは奥義を書いたもの、もう一つは具体的な技術解説書。これらはそれぞれ一長一短がある。奥義のほうは深いところで物事の原理を捉えてはいるのだと思うが、素人が読むと禅問答としか思えなかったりする。一方、どんな小説下手でも簡単に真似できるように実例を出してテクニックを解説したものもある。これはこれで大いに役立つのだが、話が細かくなってくるほどに、そんな瑣末なことはどうでもいいと思ってしまう。高橋源一郎の『一億三千万人のための小説教室』は前者のタイプで、すぐに使えるテクニックは書かれていないが、小説の仕組みは分かる。あまりに深すぎてよく分からないところもあるけど、じわじわ効いてくる。遅行性の薬みたいだな。(黒)