創作トレーニング実習 第19回作品募集
公募ガイド6月号(5/9発売)の特集「創作トレーニング実習 1週間で文章力を上げる」にちなみ、
創作トレーニング実習の作品を募集し、本ブログにて優秀作品を紹介します。
■第19回課題
三浦哲郎に「拳銃」という短編があります(講談社文芸文庫『拳銃と十五の短篇』所収)。
あらすじを記すと、こんな内容です。
主人公の私は、八十三歳になる母親から、十六年前に見つかった一挺の拳銃の処分について相談されます。
それは父親の形見の三二口径で、実弾も五十発入りの箱のまま残っています。使った形跡はありません。
それならば父親はなぜ拳銃を買ったのだろうと私は考えます。
考えているうちに、十六年前、初めてこの拳銃を見たとき、すべてを覚ったことを思い出します。
十六年前、父親は死の床にありました。私は毎日少しずつ死んでいく父親を見守りながら、
生まれつき体に色素がないという障害を持った二人の娘たちには死なれ、
また二人の息子たちには家出された男親というものは、一体なにを支えにして生きるものかと考えます。
そして父親の死後、金庫の底から出てきた拳銃を目にした途端、一瞬のうちに
父親のすべてがわかったような気になります。
この拳銃こそが父の支えだったのではあるまいか。その気になりさえすればいつだって死ねる。
確実に死ぬための道具もある――そういう思いが父親をこの齢まで生き延びさせたのではあるまいか。
私はそう確信します。
「拳銃」という小道具は、テーマを象徴し、まさに本物の拳銃のような存在感でずしりと迫ってきます。
テーマというのはそれだけでは捉えどころがないものですが、モノとして形あるものはイメージしやすいですし、
印象に残りやすいと言えます。
では、小道具にテーマを象徴させ、ショートストーリーを書いてみましょう。
小道具といっても、「東京タワー」のように大きなものでも、また、モノでなくてもOKです。
■応募規定 メールで応募。字数は400字詰原稿用紙換算3枚以内(1200字以内)。
■応募先 toku@koubo.co.jp(件名「第19回」)
■締切 5月25日(24:00)
■備考 本ブログにて採用された方には記念品を進呈します。



