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【作品添削講座】編集余録vol.13「上手な文章」

2011-10-03

文章がうまくないとライターにはなれませんか、と聞かれたことがある。
これは誤解だと思う。
うまくなくていい。普通の日本語が書ければいい。
少なくとも、うまく書こう、美文を書こうとする人はライターには向かない。
と言うと、なんだ、普通に書けばいいのか、簡単だなと思うかもしれないが、
普通の日本語というのが案外難しい。
小説の場合も、うまい人ほど透明度が高く、「私」を主張してこない。
こないからこそ、読み手は物語に集中できるとも言える。
文章を書くとなると、誰もが名文を書こうとしてしまうものらしく、
「どうよ、これが私の個性よ、見事でしょ」とか、
「くぅ~、我ながら文学っぽいのである」とかだったりする。
小説ですら“滅私”が必要なのだから、無署名の記事ならなおのことだろう。
だから、過剰に“私な文章”である必要はない。普通がいい。
ただ、書き手の存在を零度にしようとして、はからずも滲み出てしまう個性はある。
(黒)
作品添削講座