Logo
employee blog

社員ブログ

TK-プレス 其の36「童話特集 ここだけの話」

2010-12-07

何かを考え出すと、「そもそも○○って何だ」と、四六時中そのことばかり考えてしまう悪い癖がある。最近は童話特集のことばかり考えており、誰かと話せば独り言のように「童話って何だろうね」と聞いていたが、当然、そんなことで答えが出るはずもなく、窮した果てに出てきた言葉は、「童話、童話、童話はどうわったら書けるの?」という想像を絶するオヤジギャグだった。


それで専門家に話を聞くことにしたのだが、ある先生にお会いしたとき、「童話とは」と言っただけで、即座に「そういうの、ウケないのでは?」と言われてしまった。確かに、童話とは? なんていう話をしてもおもしろくない。女子大の先生でもある方の言葉だけに説得力がある。これはもっと(一杯飲みながら)深く話を聞きたいと思ったのだが、先生は一段落すると、「8時のテレビにジャルジャルが出るので」とあっさり帰られてしまった。そ、そんな! 理由がジャルジャルって……。


さて、事前にめぼしい名作や入選作を読みあさり、リサーチもインタビューも済んだ、頭の中は草稿で溢れそう、あとはこれを原稿に吐き出すだけ、楽勝! と思ったとき、タイトルを決めなければということになった。それまでは仮題「童話の書き方」というだけだったが、それでは弱いな、「サルでも書ける……」にしようかと思ったが、読者をサルには喩えられまいということになり、無難に「童話が書けます」案で決まりかけた。しかし、それもありきたりのような気がして、思いきって「みるみる上達、たちまち入選 童話がすらすら書けちゃった!」にした。


「書けます」は一般論っぽいが、「書けちゃった」と過去形にすると、これは事実を示していることになる。しかも、「みるみる、たちまち、すらすら」ときた。タイトルとしては断然強い。こりゃあいい! ところが、特集を読んだ人に「おい、書けちゃわないぞ」と言われたらどうしようと思ったとたん、一週間ぐらいぱたっと筆が止まってしまった。締切は迫っているのに、焦るし苦しいし、これにはまいった。扉のイラストを「すらすら書けちゃった! って、そっち!?」という構図にしたのは、今考えるとプレッシャーに耐えきれず、ギャグに走ったってことかな。(黒)