TK-プレス 其の2「60円の余裕」
2009-08-18
折り目正しいという言葉があるが、こと原稿に関しては折らないほうがいいと思う。大判の原稿用紙を二つ折りにするぐらいは仕方ないとして、A4用紙を三つ折り、四つ折りのようにしてしまうと、いろいろ面倒なことになるから。
その一。折った原稿が波打ってしまって読みにくい。アイロン掛けのように手で皴を伸ばしても、一度ついた折り目はなかなか戻らない。
その二。コピーでソーターをかけるとき、紙詰まりの原因になる。
その三。保管するときに厚みが出てしまい、嵩張ってしまう。
原稿を読んだり、赤入れしたりする立場からすると、いいことないんだなあ、これが。
折ってしまうのは、やはり手紙の影響だと思う。便箋に書いた手紙などは、誰でも折るからね。だから、数枚の原稿の場合、いつもの癖で折ってしまうのも致し方ないのかもしれない。
定型郵便のほうが安いからという理由もあるような気がする。定型なら80円か90円で済むところ、折らずに定形外郵便にすると120円か140円かかってしまうから。
ただ、思うんだけど、お得感覚って、文学や芸術とは対極にあるものではないかと。つまり、芸術は偉大なる無駄であって、無駄が好きというぐらいでないと、いい作品は物せないのではと。いや、これはちょっとオーバーだったな。
とまれ、折り目があるからといって、イライラが募り、集中力が落ちて、作品の評価も下がるということは、一般の公募でもないとは思うが、しかし、プラス60円の精神的、経済的余裕のある方は、作品は折らずに送るにしかずかと……。(黒)



