Logo
employee blog

社員ブログ

言葉処 其の98「居酒屋って、酒屋が居る店?」

2009-07-14

ある居酒屋には「酒可飲百薬長」と書かれた額があり、店主に「読める?」と聞かれたどこかのおっさんは、「酒は飲む可(べし)、百薬ノ長」と書き下してみせた。しかし、その隣に書いてあった「女可愛無上愉」のほうは、なぜか「女は可愛い、無上の愉しみ」と読んでしまった。むろん、「女はかわいい」ではなく「女、愛すべし」だろう。酔っ払っていたのか、それともシャレか。


動詞を含む二字熟語を書き下す際、一番多いのはレ点がつくタイプ。たとえば、「読書」は「書を読む」だからBAする」。「乗車」は「車に乗る」だからBAする」。「立春」は「春が立つ」で「BAする」。一方、「雷鳴」は「雷が鳴る」で「ABする」だが、これがなぜ「鳴雷」でないかは分からない。「来襲」と「襲来」どっちもアリのように、規則性はないのかもしれない。


ややこしいのは、似た言葉でも熟語の成り立ちが違う場合。「集金」は「金を集める」であって「集めた金」ではない。逆に「残金」は「残った金」であって「金を残す」ではない。そうかと思えば「借金」のように二つの意味がある例もある。「借金を返す」の「借金」は「借りた金」というモノを指しているが、「借金で首がまわらない」の「借金」は「金を借りる」というコトを指す。


「材木」は「材料となる木」で「木材」は「木の材料」だからあまり違わないが、「習慣」は個人的で、「慣習」は一般的だから範囲が広がり、「牛乳」と「乳牛」では指すものが違う。また、「居酒屋」は「酒が居る店」ではなく「居られる酒屋」だろう。子供の頃、「喫茶店」は「喫煙しながら茶を飲む店」だと思っていたが、これは「茶を喫する店」であり、タバコとは関係なかった。(黒)