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社員ブログ

言葉処 其の82「気づかない方言」

2009-03-24

関西の人に「ほかして(捨てて)」と言われ、「保管して」しまったという話が小学校の教科書にあった。それはさておき、関西の方は元はこっちが日本の中心という自負があるせいなのか、方言かどうかにはあまり頓着せず、当然のように方言を使うので、しばしば会話に支障をきたす場合がある。言葉自体違う場合はまだいいが、言葉が同じで意味が違うと困るときがある。



以前、ある関西の方は「カバンを直せ」と言った。大阪出身ながら川端康成の小説の中にも「靴を直す(揃える)」という表現があるので方言ではないかもしれないが、東京で「直す」と言えば「修理する」ことなので、「ひょっとして『直せ』って『かたせ』って意味の方言?」と聞くと、彼は「『かたせ』ってなんや」と。なんと「かたす」のほうこそ関東方面の方言だった。



東北出身のある方は「鍵をかう」と言ったあと、速攻で「掛ける」と言い直した。通じないと思ったようだったが、「かう」は鍵をかける、つっかい棒をすることを示す和語で、方言ではないだろう。若い子はあまり言わないけど。関東では「わりと」「そのかわり」という意味で「わりかし」「そのかし」と言うが、この「かし」は「方」が訛ったもの。これも若い子はあまり言わない。



東北地方では「ごみを投げる(捨てる)」と言い、教室には「今週のごみ投げ当番」と書いてあるとか。東海地方では「お金を壊す」と言い、「お金を崩す」なんて変だと言われたことがあったが、そのセリフ、そのままお返ししたい。とまれ、和語は動詞が少ないのでどうしても意味が広くなる。北海道では「手袋をはく」と言うそうだが、これは「履く」ではなく「穿く」だろう。(黒)