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社員ブログ

言葉処 其の80「霊験あらたか、企業マントラ」

2009-03-10

「曼荼羅」とは、悟りの境地や世界観などを表したもので、日本では仏教の絵画などを意味する。この「曼荼羅(曼陀羅とも書く)」という字はサンスクリット語の音に漢字をあてたもので、漢字そのものに意味はないが、よく見ると「荼」は「茶」ではない。「こけら落とし」の「杮(こけら)」(柿に似ているが、縦棒が一直線)」、「完璧」の「璧」(下が玉)に並ぶ「三大紛らわしい」だ。



さて、この「マンダラ」に似た言葉に「マントラ」がある。仏教では仏に対する賛歌や祈りの言葉を指し、日本では「真言」と訳される、神秘的な力を持つ文言。ジョン・レノンは『GOD』の中で「Don't believe in mantra」と歌ったが、むろん、マントラはありがたい言葉である。ただ、世間では、時に「意味があるような、ないような」という意味で「マントラ」と言うことがある。



CMを見ていると、具体的なPRをしていないおかしなコピーがあることに気づく。たとえば、NIKEの「Just do it」、日本マクドナルドの「I’m lovin’ it」、トヨタ自動車の「Drive Your Dreams」、日産自動車の「SHIFT the future」、日立製作所の「Inspire the Next」、三菱電機の「Changes for the Better」……。意味があるような、ないような。でも、心に響く。これを企業マントラと言う。



これらの特徴は具体的でないこと。「どの商品を、どの層に向かって」というキャッチコピーの手法は取らず、漠然と、しかし、元気が出そうな、響きがよくて飽きのこない、かっこいい言葉が選ばれている。その言葉を繰り返し唱えれば、あーら不思議、脳裏に企業名が浮かんできて、あなたはだんだんマックが食べたくな~る。その霊験あらたかな言葉は、まさに真言!黒)