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社員ブログ

言葉処 其の78「読点は一種類でいいか」

2009-02-24

「イツモシヅカニワラツテヰル」。これは宮澤賢治の「雨ニモマケズ」の一節だが、カタカナの連続なので読みにくい。同様に「たとえばかといわれても」も「たとえバカと言われても」なのか「たとえば可と言われても」なのか判別しにくい。漢字もそうで、「その場合は例外です」を「その場合例外です」と書くと、一瞬、「場合例外」という四字熟語(はないけど)に見えて気になる。



つまり、同種のものは一体化しやすいということだが、このようなときはひらがなと漢字、ひらがなとカタカナなどにするか、さもなくば「その場合、例外です」のように間に読点を打てばいい。ただ、このテンがまたやっかいで、記号は一つしかないのに用法は複数あり、国語学者の中には最低でも三つの記号が必要と言う人もいる。ちなみに最多なら十種類が必要だ(テンだけに)。



「僕は彼女と別れ、就職をした」。このテンは重文の境目にあり、ごく一般的なテンの用法。ほか、「おお、神よ」(感動詞の)、「それだよ、問題は」(倒置法)、「准教授、かつての呼称で言う助教授は」(挿入句の前)といった用法もある。紛らわしさの原因は、意味のまとまりのあとに打つテンと、単に語句を分断するためだけのテンの二つがあるからで、違う記号にすればいいのにと思う。



たとえば、「僕は彼女、付き合って三年目だった、と別れ、就職をした」なら、「僕は彼女=付き合って三年目だった‥と別れ、就職をした」とか、「それだよ:問題は」とか。ただ、言葉や記号は共有しあわなければ通じないから、一人では使えない。でも、いつか何かの拍子に普及し、文科省が重い腰を上げることになる。その頃には弥勒菩薩が現れているかもしれないけどね。(黒)