言葉処 其の75「ものの名前 地名編」
「太秦(うずまさ)」「東雲(しののめ)」などは知らなければ読めない。鳥取の「大山(だいせん)」も「おおやま」とよんでしまいそう。西南戦争の舞台「田原坂(たばるざか)」など九州は「原」を「ばる」と読むことが多く、「前原市」は「まえばる市」。また、沖縄に難読地名が多いのはご存じの通りで、「西表(いりおもて)」「北谷(ちゃたん)」などは後で漢字を当てたものだろう。
意外だったのは香川の「観音寺市」が「かんおんじ市」だったこと。観音様は「かんのん」で、発音上、「KAN-ON」が「KAN-NON」となるが、「観音寺市」はなぜか連声(れんじょう)しない。そう言えば、西日本では「中島(なかしま)」「山崎(さまさき)」など連濁しないことも多い。でも、元ホークスの「城島(じょうじま)」選手は? もしかしてご先祖様は東日本の人なのかも?
北海道も難読地名の宝庫。「知床」はアイヌ語で「地の果て」という意味だそうだが、日本の知床のほか、それより北、間宮林蔵の通った樺太にも「シレトコ」がある。「渋谷」の「谷」もアイヌ語の「ヤツ」が語源で、東日本には「谷(や・やつ)」という地名が多い。鎌倉は「谷(やつ)」だらけだ。「能登」も語源はアイヌ語で、これは鼻や突き出たものを指す「ノット」に由来する。
外国には笑える地名がある。「スケベニンゲン(オランダ)」、「エロマンガ(バヌアツ)」、「マルデアホ(アルゼンチン)」、「オナラスカ(アメリカ)」とか。日本代表は愛媛の「土居中」……ド田舎って。ついでに高校名を調べたら、「多古(千葉)」「可児(岐阜)」「伊香(滋賀)」なる高校があった。タコ、カニ、イカ。これでエビ高校があったらグランドスラムだったんだけどなあ。(黒)



