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社員ブログ

言葉処 其の69「ローマ字無法地帯論」

2008-12-23

小学校では、まずは「si」「ti」「tu」「hu」「zi」と書く国内規格のローマ字を習った。ところが、一般には「shi」「chi」「tsu」「fu」「ji」というヘボン式の表記が多く、これが混乱の第一歩。そんな折、テレビで王貞治選手の背中を見たら「OH」とあって、まさに「oh!」。「OU」や「Ō」ではしまりがないからだと思うが、一方で「ookubo」や「iida」といった表記もあって混乱した。



オノ・ヨーコは「youko」ではなく「yoko」としており、これはよく見る表記だが、この方式には「小野」なのか「大野」なのか区別がつかないという欠点がある。かといって「ō」のようにマクロンを使うのも面倒ということなのか、キャンディーズの田中好子は「」ではなく「sue」と書き、矢吹丈は「Jō」だったが、オダギリ・ジョーは「Joe」だ。これは英語表記の応用。



新橋は「shinbashi」ではなく「shimbashi」と書き、「備中」は「bicchu」ではなく「bitchu。これはヘボン式だそうだが、最近は雑誌「ダンチュー」のように「Danchu」を「Dancyu」とする無手勝流も多い。そのうち「六根」を「rockon」とか「生命」を「saymay」とか、「xble(くすぶる)」「rownin(浪人)」といった表記もでてきそうだ。いや、もう既にあるかもしれない。



DATSUN(ダットサン)は海外では「ダッツァン」のように発音されるそうだが、これは誤読というよりリンクか。でもハイフンがないと「shinokubo(新大久保)」を「死の久保」と読んでしまったりする。明治時代にはローマ字を日本語としようという運動もあり、実際ローマ字で書かれた新聞も発行されたそうだが、今ローマ字を整備する気運はなく、無法地帯に近い。(黒)