言葉処 其の68「mishearとmisread」
以前はヒアリング(hearing)と言った聞き取りのテストは、今はリスニング(listening)と言う。「hear」は単に「聞く」というより、しっかり「聴く」というニュアンスだと思うので「ヒアリング」でいいと思うのだが、「hearing test」と言うと、聞こえたかどうかを試す聴覚検査のことになってしまうようで、理解したかどうかを問う場合は「listening test」と言うそうだ。
「hear」が「聞く」なら、その反対は「mishear」(聞き間違う)だが、初めてこれを見たときは「ミシェア」と読んでしまった。「mis」は「misunderstand」のように単語の前に付く接頭辞だが、「wish」「dish」など「ish」という繋がりになじみがあったので、「mish」と誤読してしまったわけだ。ちなみに「誤読」は「misread」だが、結末を効果的にするために意図的に誤読させる手法の「ミスリード」は「mislead」のほうだそうだ。
「ble」は「possible」などについている接尾辞で、「believable」「comfortable」など受験英語にはよく出てきた。そんなおり、教科書に「timetable」という単語が出てきて、級友に意味を聞くと「本当に読めないの?」と。「タイメッタブルかな、なんだろ」と思いつつ辞書をひくと、「時間割。タイムテーブル」とあった。なるほど、よくよく教科書を見れば「time table」だった。
ある通訳の方は米兵がしきりに「ダッグ」と言っているので、「なんか掘る(dug)のかな」とスコップを持参したところ、「通訳のくせにダッグも知らないのか」と言われ、ふと見ると基地内に野良犬が侵入していたとか。気候的に暖かい地域出身のアメリカ人は口を大きく開けて発音するので、「ドッグ」が「ダッグ」と聞こえたそうなのだが、紛らわしくて「mishear」するよね。(黒)



