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社員ブログ

言葉処 其の67「訳語がない!」

2008-12-09

外国にない物や習慣には訳語がない。たとえば「障子」は「Shoji」と書くか、説明的に「Paper sliding door」と言うしかない。同様に「侍」が「Samurai」なのは分かるが、なぜか英語には地震による大波(津波)を意味する単語はなく、1946年、アリューシャン地震でハワイに津波があった際、日系移民が使っていた「Tsunami」がそのままアメリカ本国でも一般化して現在に至っている。




英語には「自殺する」という単語もない。辞書には「Suicide」とあるが、「自殺をする」という動詞はなく、そう言いたいときは「Kill myself(自分を殺す)」と言うしかない。自殺は宗教的に禁じられており、あってはならないことだから言葉も存在してはならないということだろう。もっとも漢語の「自殺」も「自」と「殺」を組み合わせたもので、「自殺」に相当する和語はない。





意外と言えば「すする」にあたる英語もなかった。「Sip」という単語はあったが、これは「ちびちび飲む」という意味らしく、「すする」とはだいぶ違うようだ。息と同時に物を吸い込む「すする」という行為は、日本、韓国、中国、ベトナムなどアジアの一部の民族が後天的に習得した特殊技能で、だから欧米の方はマナーとしてすすらないというより、やりたくてもできないらしい。





「ただいま」は「I'm home」と言うが、「ごちそうさま」は「I'm full」「Thank you」「It was good」、「行ってきます」はI'm leaving」「See you」「Bye」などと言い、決まり言葉はない。「いただきます」も同様だが、代わりに「神に感謝して……アーメン」と長いお祈りをする。この「神は八百万の神を信じる日本人の感覚では「God」ではなく、強いて訳せば「天」となろう。(黒)