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社員ブログ

言葉処 其の57「macは何の代名詞?」

2008-09-30

宅配便は急に広まったこともあって普通名詞の普及が追いつかず、しばらくは「宅急便」が普通名詞だと思われていた。『魔女の宅急便』はそんな時代背景の中で生まれた題名だが、映画化の際に「登録商標をタイトルに使ってはまずかろう」と関係者は泡を食ったそうだ。結局、ヤマト運輸がスポンサーに入ることで決着したが、当時、商標への認識はかくも薄かった。


昔は商品名が代名詞になってしまうことがあった。セロテープ(セロハンテープ)、タバスコ(ペッパーソース)、テトラポッド(消波ブロック)、ラビット(スクーター)、クレパス(クレヨン)、クラクション(ホーン)、エレクトーン(電子オルガン)、セスナ(小型旅客機)などがそうだが、エスカレーターは商標権が消滅、ホッチキスは権利が放棄されて今は普通名詞化している。


マックと言えばハンバーガーかパソコンのマッキントッシュを思い出すが、ビートルズの『Penny Lane』という曲の中に「And the banker never wears a mac」とあり、このmacはレインコートのことらしい。当時イギリスでmacと言えばレインコートの代名詞だったそうなのだが、今イギリス、そしてマッキントッシュと言えば、やっぱり「キットカット」だよね?


30年前、紅白歌合戦のトリを務めた山口百恵は、商品名を言うことに配慮して詞中の「ポルシェ」を「車」に替えさせられた。しかし、同じ3音でも「ポルシェ」と「車」とでは発音が違うから「車」の「く」にアクセントがいってしまい、なんだか「緑の中を走り抜けてく真っ赤な車」が寅次郎か、だん吉のようだった。笑えるような、悲しいような、まさに悲喜劇。(黒)