小説『レインボウ・ハート』(後半)
公募ガイド社「ケータイ小説の練習」の修了作品、あおいみつきさんの
『レインボウ・ハート』(前半)をご覧いただきましたか?
いよいよ、後半です!
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『レインボウ・ハート』 (後半) あおいみつき
一ヵ月後、麻美は圭のアパートに転がり込んだ。
料理、洗濯、掃除をしたりと新妻の気分だった。
麻美はスプーンでご飯をすくって圭に食べさせる。
「ねえ、圭、おいしい?」
「うん、おいしいよ、一人で食べられるから大丈夫だよ」
「だめよ! 圭はこぼすから、言うことを聞いてちょうだい」
圭はしぶしぶ口をあける。次の日、麻美は圭の洋服をコーディネートしようと選んでいた。
「おはよう!会社へ着ていく服を選んでおいたわ、これとこれね、さあ、手を通して!」
「いい加減にしてくれよ! お節介しすぎだよ。今まで目が見えなくても一人でやってきているんだ! 女房づらするのはやめてくれよ! だから僕は最初から断わったんだ」
「あなたのためにと思ってしたことなのに……」
麻美はショックで部屋を飛び出したきり、帰って来なかった。
実は実家に帰っていたのだった。母親はお茶を入れながら、
「麻美、話があるの、ここへ座ってくれる?」
母はエプロンのポケットからなにやら封筒を取り出し麻美の前に置いた。
入っていたのはカセットテープと鉛筆画の絵だった。
麻美は急いで自分の部屋に駆け上がり、CDラジカセにテープを入れた。
すると圭の澄んだ声が流れてきた。
「麻美、この間はごめんな、言い過ぎた。君は僕の目になろうと一生懸命なのに僕は意地ばかり張っていて素直じゃなかったんだ、しばらく離れてみて、君がかけがえのない人だって気が付いたよ、麻美もう一度やり直してくれ、許してくれるなら、この絵に色をつけてほしい」
その絵は虹の絵だった。母が部屋に入ってくる。
「麻美、圭さんね、見えない目でずっとあなたの部屋のほうをみていたのよ。あなたのことを思っていたのね。これから大変なことが待ち受けているだろうけど、がんばりなさい」
「お母さん、ありがとう」
麻美は絵の具と絵筆を取り出し、圭の気持ちに応えようとしていた。
END
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