小説『レインボウ・ハート』(前半)
公募ガイド社の通信教育「作品添削 ケータイ小説の練習」では、修了された方の
作品を、当ブログで紹介していきます。
今回の作品は、あおいみつきさんの作品です。
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『レインボウ・ハート』(前半) あおいみつき
あー、お茶くみ、コピーとり、パソコンで数字の入力ばかり……
つまらないな、こんな仕事、そうだ! 習いごとをしよう! 大好きな絵を描きたい。
「川野さん、3階の絵画教室になります」
受付の女性から書類を渡されて入室した部屋は満杯、一つだけ空いている机を見つけた。
「あのう、ここ空いてますか?」
30歳前後の色白の男性に尋ねるが応答はない。
何よ、この人、シカトしなくてもいいじゃない、まあいいか、すわっちゃえ!
「今日のテーマは自由です。お好きな絵を描いてください」
麻美は迷ってしばらく手付かずにいた。
隣の青年はイーゼルをやたら手探りで触って描いていた。
下書きを描き終えて麻美のほうを向く。
「あの、僕は目が見えません。この絵に色をつけていただけないでしょうか?」
その絵はどうやら木らしい。麻美は赤と白の絵の具を混ぜてピンクを塗り始めた。
約1時間かけて絵が完成した。講師が近付いてきて、
「ほう、二人三脚で素晴らしい絵を完成したね、今度から川野さんが圭くんを助けてあげてくれる?」
「川野さん、よろしくお願いします」
圭は深々と頭を下げる、そこまでされると嫌とは言えず、承知してしまった。
まぁ、いいか、絵も上手だし、ちょっとタイプかも……。
次の週の授業の終了後、帰宅しようとしていた圭に麻美は勇気を持って声をかけた。
「あの、圭さん私とお付き合いしていただけませんか?」
圭は驚いた。
「僕は目が見えないんですよ! あなたにご迷惑をかけてしまう、あなたにはもっとふさわしい方がいるはずです」
「そんなことはないです。そのままのあなたが好きだから… そばに居させてください」
「そうですか…わかりました」
そうして麻美と圭の交際は始まった。だが、二人の恋はスムーズにいくはずはなかった。
(以下、後半に続く)
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後半は、8月2日(土)0時にアップする予定です。
お楽しみに!
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