言葉処 其の45「間投詞化する流行語」
2008-07-08
「ぶっちゃけ」の元は「打ち上げる」かと思っていたが、松本清張の短編を読んでいたら「うちあけた話が」と出てきて、なるほど「うちあけた」に「ぶっ飛ばす」などの「ぶっ」という強意の接頭語が付いて「ぶっうちあけ」、それが音便化して「ぶっちゃけ」になったのだと悟った。で、この「ぶっちゃけ」だが、最近ではぶっちゃけていない話にも使われているような気がする。
「マジ~」「超~」「普通に~」「リアルに~」「正直~」といった言葉が流行語になっているが、流行語は頻繁に使ううちに意味が広がり、特に副詞は間投詞化して無意味化する傾向がある。だから、「超ウルトラスーパーマジすげえ」と四つ重ねても、それは「あ~う~」のようなものだから、凄さが四倍になるわけではなく、単に話し出す前の助走が長くなったというだけの話だ。
「逆に」もよく聞くが、これも間投詞化しつつあり、「飯でも食おうか?」「逆に酒はどう?」という使い方を聞くと、「何が逆なのかな」と言いたくなってしまう。ただ、この無意味化した「逆に」を「それよりも」や「むしろ」に言い替えると、なんだか相手のことを否定した感じが強く出る。その意味では「逆に」は「~とか」「~かも」「~みたいな」と同じぼかし表現に近い。
というような話を同年代の人と話していたら、昔はハマトラだった某女性が「今の子は『逆に』って何気に言うよね」と言ったので、「つーか『何気に』って古くね?」みたいな話になり、一同爆笑だった。すると中高生の母でもある件の女性は「ウケるぅ」を連発。この言葉も既にして間投詞化しており、だから「笑える」の意味は薄く、笑える状況下での合いの手や相槌に近い。(黒)



