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社員ブログ

言葉処 其の25「人は思い込みで生きている」

2008-02-19

坂口憲二がやっている缶コーヒーのCMには、いつも「なるほど」と思わせられる。少し前に、上司に「坂田くん」と名前を間違って紹介され、はじめのうちこそ「坂口です」と訂正するものの、最後には自ら「坂田です」と名乗ってしまうものがあって傑作だった。他人のことは笑えないが、ことほどさように「人は思い込みで生きている」。


横山秀夫の『クライマーズ・ハイ』は、1985年の日航ジャンボ機墜落事故を、地元群馬の新聞記者の目で描いた小説だが、氏は『半落ち』など犯罪小説を多く手掛けていたから、クライマーズとはCrime(犯罪)の派生語Crimersであり、Crimers highとは、犯罪を重ねるごとに興奮が高まり、病みつきになる人といった意味だと思って読んでいた。


ところが、読めども読めども犯罪が出てこない。登山シーンが出てきたから、ついにここで殺人かと思いきや、そうはならない。おかしいな、それにしてもなぜ登山なんだと思ったときハタと気がついた。クライマーズは登山者のClimbersかと。考えてみればClimbは動詞だからerを付けて人を表せるが、Crimeは名詞だからCrimerとは言わない、Criminalだ。


一方、今年正月のこと。BSで『トランスフォーマー』という映画をやっていると聞き、暇つぶしに見始めてハマってしまった。しかし、トランスフォーマーという割には変身も合体もしない。妙だなと思って見ていたが、ラストシーンで事実が判明した。その映画は『トランスフォーマー』ではなく『トランスポーター』だったのだ。どうりで……。(黒)