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社員ブログ

言葉処 其の24「意味はほとんど同じだが」

2008-02-12

喫茶店で注文を聞かれた人が「コーヒーいいです」と言っているのを聞き、なにかいやいや決めたような感じを受けたが、そのせいか、対応していたウェイトレスの「コーヒーでよろしいですね」が「よろしいですね」に聞こえ、なんだか「よろしいんですね(あとで後悔しても知りませんよ)」というニュアンスに思えて妙におかしかった。


一方、「コーヒーいいです」と言う人を見たこともあったが、これはおかしい。他の人が別のものを頼み、「君は?」と問われたのなら「私はコーヒーがいいです」でもいいが、その場で話題になっていないことに対して、いきなり「コーヒーがいいです」はない。言えばやけに「コーヒー」が強調されてしまって、専門店でもなければ店員が恐縮しそうだ。


以前、東北本線で出発を待っていたら車内放送があり、車掌さんは「車両には灰皿が備え付けてありますが、○○駅までは禁煙ですので、おタバコはしばらくの間」そこまで言って詰まってしまった。次の言葉を度忘れしたらしい。一秒、二秒。車掌さんは思い出せない。四秒、五秒。「『ご遠慮ください』でしょ」早く思い出せ。こっちもじれてきた。


しかし、やがて車掌さんは言うべき言葉を探しあて、一息おいてこう言った。「しばらくの間、ご辛抱ください」。思わず、先代の若貴兄弟がやっていたCM「人間辛抱だ」を思い出してしまったが、「ご辛抱ください」という言葉に、「ご遠慮ください」にはない温かみを感じて好感を持った。きっとあの車掌さんも“おタバコ”を我慢していたに違いない。(黒)