Logo
employee blog

社員ブログ

言葉処 其の18「新年言葉初め」

2008-01-01

年越しそばの起源は諸説あるが、「細く長く」や「練ったそば粉で金粉を集めたから」といった縁起説が有力だ。お節料理の黒豆(まめ)や昆布(よろこぶ)、蓮根(見通し)、数の子(子孫繁栄)、初夢の一富士(不死)、二鷹(高)、三茄子(成す)もあやかりの意味を掛けている。ちなみに、四扇、五煙草、六座頭は語呂合わせではないが、いずれも祝いに関連する縁起物だそうだ。


掛けると言えば、百人一首に「花の色はうつりにけりないたずらにわが身世にふるながめせしまに」(小野小町)とある。ふるは「経る」と「降る」、ながめは「眺め」と「長雨」の掛詞だ。「来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに焼くや藻塩の身もこがれつつ」(権中納言定家)の「松帆」は「待つ」、「焼く」は「妬く」と掛けている。これをDouble Meaningと言うが、平たく言えば文芸的ダジャレだ。


童謡「お正月」の替え歌に「お正月には餅食べて 喉に詰まらせ死んじゃった 早く来い来い救急車」というものがあった。誰が考えたのやら。唱歌「一月一日」の替え歌は「年のはじめの ためしとて 尾張名古屋の大地震 松竹ひっくり返して大さわぎ いもを食うこそ楽しけれ」で、向田邦子の小説にも出てきた記憶があるが、これは明治時代に内田百閒(ひゃっけん)が作ったものだそうだ。


年賀状は世相を反映した流行語が多い。「謹賀新年ならぬ『金が信念』だけど、でも、そんなの関係ねぇ」とか、「元旦は一月一日の朝のことだと知らなかったのはどこのどいつだ~い。あたしだよ」とか、「A Happy New Year 欧米か!」とか。関係ないけど、年末に書いたせいだろう、「来年もよろしく」とあったりするのも笑える。2008年をとばして2009年もよろしくって、どんだけぇ!(黒)